2014-01-01から1年間の記事一覧

ヨコトリ(12) 横浜、港、そして海。

大竹伸朗の先には、喫茶エリア。 椅子テーブルの向こうには、港が見える。 青い風船も見える。 ギムホンソック作≪8つの息≫。 ”8つの息”っていうからには、8人の人が青い風船に息を吹きこんだのだな、きっと。青い風船も8つあるし。 外へ出る。 その青い…

ヨコトリ(11) 大竹だっ。文句あっか。

ハングルのダンボールの向こうにこれが見えてきた。 遠目にも、ひと目見ただけで大竹伸朗。 車輪が付いてるな。 ≪網膜屋/記憶濾過小屋≫か。 近寄る。 大竹伸朗の≪スクラップブック≫をデカくしたようなものだな。 2006年、MOT(東京都現代美術館)で大…

ヨコトリ(10) アジアを漂う。

新港ピアでの第10話と第11話、森村泰昌はこう述べる。 アジアの美術をどう捉えるべきか、と考え・・・ 広大な忘却の海、旅はまだまだ続く、と。 これ、どういう作品だったのか、何というタイトルだったのか、作家は何という人だったのか、まるで憶えてい…

ヨコトリ(9) ステージ・トレーラー。

ヨコトリ、今回の第二会場である新港ピアへ。 新港ピアの入口にもこれがある。 森村泰昌が唱える”華氏451の芸術”、”・・・忘却の海が”、というこれが。 展示場へ入ると、すぐ目の前にこれがある。 やなぎみわの作品。ステージ・トレーラー、移動舞台車で…

九州場所中日・豊響。

逸ノ城は気にかかるが、白鵬がどうとか、今さら稀勢や奨菊、豪栄道、ましてや10年とは言わず3年は早い遠藤がどうこう、という感覚からはやや隔てた相撲好きである。 今日のNHKの画面。 常幸龍とか、豊響とか、安美錦とかってどういうことなんだ、と誰…

ヨコトリ(8) アート・ビン。

第5話、6話、7話、8話、9話、とヨコトリの「忘却めぐりの旅物語」は続く。 しかし、先を急ぐ。 前回、3年前のヨコハマトリエンナーレ、ヨコトリは、10回少しでブログを閉じた。今回もその程度で幕を引こうと考える。あと4、5回で。 横浜美術館のエ…

ヨコトリ(7) 梟に非ず鷹だった。

第4話、「たった独りで世界と格闘する重労働」、と森村泰昌が言う部屋の一番奥へ近づくにつれ、「オッ、島谷じゃないか」、という思いが強くなる。 だんだんと大きく、こういうものが現われてきたので。 真ん中の鳥、まさに島谷だ。島谷が描く鳥。島谷晃、…

ヨコトリ(6) 孤高の格闘技。

第4話へ移る。 森村泰昌は、「たった独りで世界と格闘する重労働」と規定する。 このように。 福岡道雄の作品≪飛ばねばよかった≫。 何やら丸いものが浮かんでいる。 石膏、ロープ、針金、麻布人体。1966年の作。50年近く前の作品なんだ。 福岡道雄っ…

ヨコトリ(5) 大谷芳久コレクション。

今日も”華氏451”がらみの問題である。 大日本帝国時代、なかんずく太平洋戦争中の文学者、特に詩歌の世界はどうであったか、ということ。 対中戦争から太平洋戦争へ至るまでの主に詩歌、17冊が展示されている。 大谷芳久コレクションである。 お読みい…

ヨコトリ(4) バーミヤン。

これも<華氏451はいかに芸術にあらわれたか>の一断面。 正面にビデオモニターが見える。右の方には、小さな机の上に何やら小さなものが乗っている。 2001年、タリバーンはバーミヤンの大仏を爆破した。大仏がおわした石窟の中は、ガランドウとなっ…

ヨコトリ(3) 華氏451の芸術。

今回のヨコトリの心臓とも言えるものは、この部屋に詰まっている。 この広い部屋のあちこちに。 第3話。 <華氏451はいかに芸術にあらわれたか>って森村泰昌は言う。 SFってものが苦手である。さほど面白いと思わない。だから、レイ・ブラッドベリの…

ヨコトリ(2) 釜ヶ崎芸術大学。

今回のアーティスティック・ディレクター・森村泰昌がフィーチャーした第2話は、これ。 <大阪の釜ヶ崎は「忘却の町」である>、と森村は言う。 その釜ヶ崎に芸大がある。 釜ヶ崎芸術大学、カマゲイである。 ウヌッ、中ほどに顔出し看板がある。 ヨコに<ふ…

ヨコトリ(1) 忘却めぐりの旅物語。

ヨコトリ、トリエンナーレだから3年経たないと廻ってこない。 9月下旬、3年ぶり、5回目のヨコトリへ行った。古い仲間7人と。 今回ヨコトリのメーン会場・横浜美術館が見えてくる。 今回のヨコトリ、つい先日幕を閉じたが、3か月に及んだんだ。 ”華氏4…

米窪雄介展「箱庭の旅」。

河瀬和世の「和紙の世界」、面白かったので、つい長居をした。7時に近い。奥野ビルのギャラリー、次々に閉めている。中に若い男のいるギャラリーがまだ開けていた。 小さなギャラリー。507号室のギャラリー・フォレスト。 米窪雄介展「箱庭の旅」。河瀬…

河瀬和世 「和紙の世界」展。

ひと月ほど前、久しぶりで銀座奥野ビルの501号室へ行った。柔和なオーナーの丸山さんはいるかな、と思って。丸山さんはいた。 「アレッ」っと言って、柔らかい笑顔で迎えてくれた。 展示がとても面白い。「オゥー」という感じ。 あちこちデコボコの壁の前…

白と黒の間に展。

9月中旬、「色が色と色を語る展」を観に行った折り、ギャラリーGKのオーナーからこう言われた。 「この後、月末に”白と黒の間に展”をやるので、また来てください」、と。色尽くしからモノトーンへ、ということなんだな。 この看板もお馴染みとなったな。…

第58回日本表現派展。

半月ほど前の上野、東京都美術館。 第58回日本表現派展。 幾つものグループ展へ出品している山本宣史、その大本、拠って立つところは日本表現派。その会員である。 山本宣史、山宣の膠彩画が見えてくる。 山本宣史作≪剱岳へ≫。F150号。 雄大な山容であ…

石田宏スケッチ展「三河の街」。

9月下旬、横浜トリエンナーレへ行った後、打ちあげを兼ね石田宏のスケッチ展を観るため磯子へ。石田を含め古い仲間7人。 石田宏、磯子の住人。さすがあちこちの居酒屋で飲んでいる石田宏、地元の居酒屋もおろそかにはしない。 欅、この日の会場。 石田宏、…

早大美研OB(アマトゥル)展。

早稲田の美研(美術研究会)、数が多いのでそのOBも、在籍10年毎ぐらいでグループを作っている。「アマトゥル」の皆さまは、私たちより上の世代。80歳前後、中には90近い方もおられるようだ。 9月中旬、その第16回展が京橋の”ギャラリーくぼた”で…

色が色と色を語る展。

9月中旬、銀座並木通りを進む。6丁目の辺りにこの看板が出ている。 「色が色と色を語る展」。銀座らしからぬ手書き文字。 細い通路を横へ折れる。 ギャラリーGKの入口はこの左。右側は細い通路。 通路の反対側から。こういう角度となる。 ギャラリーの中…

第99回二科展。

9月以降のこのふた月、友人、知人、その他、あちこち行った展覧会が溜まってきた。暫らくその模様を続ける。 まずは9月上旬の二科展から。いつも会友である久保寺洋子からお誘いがかかる。 地下鉄乃木坂から入った国立新美術館入口のポスター、例年の通り…

十五年戦争と早稲田。

早稲田では、125という数字は特別な意味を持つ。大隈さんが人生125歳説を唱えたから。 だから、大隈講堂の時計塔の高さは125尺。創立125周年の時に建てられた大隈記念タワーは、その倍の250尺(75.75メートル)。そのタワーの125記念…

坪内博士記念演劇博物館。

通称演博・エンパク、正式名称は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、我が国唯一の演劇博物館である。 昭和3年(1928年)、坪内逍遥博士が古稀の齢に達したのと、その半生を傾倒した「シェイクスピア全集」全40巻の翻訳が完成したのを記念して、各界…

早稲田のなかの韓国美術。

秋艸道人・會津八一(1881〜1956)は、東洋美術史の研究者として、また、歌人、書家としても知られる。 早稲田在学中は、坪内逍遥のもとで英文学を学び、卒業後は美術史学を研究、母校・早稲田で東洋美術史を講じた。 早稲田教授の頃の會津八一の書≪…

クラス会。

幹事からの連絡では、3時50分に新宿の小田急改札前に集合、となっている。4時すぎのロマンスカーで箱根湯本へ。 6時頃、駅近くの吉池旅館へ入る。すぐ大きな温泉に入り、7時から宴会、いや、クラス会が始まる。 54年前の早稲田、入学した学部では第…

ホームカミングデー。

3日前の日曜日、私の出た学校のホームカミングデーであった。 8月初め、「校友の皆様をホームカミングデーにご招待します」、という案内が届いた。卒業後15年、25年、35年、45年、そして、50年という人たちが招待される。私は、卒後50年、最後…

蜩ノ記。

9月初めから、この半年ばかりの間に観た映画について記してきた。 30本弱となろうか。他のこともある。昨日の『ジャージー・ボーイズ』でひとまず終りにしよう、と思っていた。と、変なことに気がついた。この半年に観た映画、洋画ばかり、日本映画を観て…

ジャージー・ボーイズ。

アメリカ東海岸ニューヨークにウディ・アレンがいれば、西の方ハリウッドにはクリント・イーストウッドがいる。 共に見せる、魅せる。 『ジャージー・ボーイズ』、ブロードウェーのヒット・ミュージカルの映画化。”ジャージー”、つまりニュージャージー出身…

ジゴロ・イン・ニューヨーク。

昨日のブログの末尾の部分、何だかよく解からないな。 『ブルー・ジャスミン』のケイト・ブランシェット、虚栄癖の抜けないどうしようもないイヤミな女の演技で、アカデミー主演女優賞は確実、と言われていたところへ降ってわいたウディ・アレンのスキャンダ…

ブルー・ジャスミン。

途中で一度『人生万歳』でニューヨークへ戻ったが、ここ6〜7年のウディ・アレン、『それでも恋するバルセロナ』、『恋のロンドン狂騒曲』、『ミッドナイト・イン・パリ』、『ローマでアモーレ』、とヨーロッパの町々で洒落た話を紡いでいた。 が、この『ブ…