2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

清順の世界(2) 陽炎座。

大正という時代、短くはあった。 <しかし昭和天皇が、実父につき公的な場で言及することはほとんどなかった。・・・・・実際に昭和天皇は、生涯を通して明治天皇に対する深い尊敬の念を抱き続け、その気持を公の場で表明することもあったが、大正天皇に対し…

清順の世界(1) ツィゴイネルワイゼン。

スピルバーグもイーストウッドも、ハリウッドの巨匠の映画は、それはそれで大したものだし、何より面白い。『一枚のハガキ』で、昨年の日本映画の賞を総なめにした新藤兼人は、巨匠どころか大の字がつく巨匠である。しかし・・・・・ これから、とても乱暴な…

戦火の馬。

馬と人とのお話である。 スティーブン・スピルバーグ、さすが手練れの名匠。極上の職人芸を見せてくれる。 イギリスの田舎町。馬の競り市で、農家の親父が一頭の馬を競り落とす。純然たる農耕馬ではない。農耕には不向きと思われるサラブレッドの血が入って…

J.エドガー。

J.エドガーと聞いても、はて誰のことか、と日本人にはよく解からない。しかし、その後ろに”フーバー”と続くと聞くと、アメリカに幾ばくかの興味を持っている人は、ああ、あの男のことか、とよく解かる。 この男に対し、殆んどの人はマイナスイメージを持っ…

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙。

アダムとメアリー、このロンドンに住む還暦世代・アラカンの二人は、今までの私の人生って、いったい何だったのかとか、年をとったっていうことかとか、これからの人生、何かやりがいのあることを、なんてことを考えている。 ところが、同じロンドンに、「貴…

最高の人生をあなたと。

ロンドンに住む夫婦の話である。共に、間もなく60歳になる。日本流に言えば還暦、アラカン世代だ。 結婚して30年、子供たちも独立した。夫は名の知れた建築家であるが、このところ落ちこんでいる。空港設計が得意なのだが、来るのは養老院の設計話、あま…

春場所千秋楽。

たしかに、鶴竜の大関取りの場所ではあった。しかし、今場所13番が必要だ。 それは、ちょっとキツイだろう。今場所は11〜2番をあげ、次の5月場所で11〜2番を加え、直近3場所の合計勝数33にする。それが妥当なところではないか。多くの相撲ファン…

フラメンコ・フラメンコ。

たまに外へ出ると、用が終わってもすぐに戻らず、ふらふらしていることがある。ここ何日か帰宅が遅くなったりが続き、ブログを書くのも面倒、休みとした。 「フラメンコ・フラメンコ」、巨匠・カルロス・サウラの最新作。 カルロス・サウラ、撮影監督にヴィ…

寅さん記念館。

、と謳っている寅さん記念館へ入る。 実は、この寅さん記念館へ入るのは2度目である。5年ほど前にも入った。何じゃこれ、と思った。できの良くない紙芝居みたいで、面白くなかった。 それが、今回は面白かった。思うに、5年ほど前には、理解できなかった…

葛飾柴又。

「わたくし生まれも育ちも江戸川区小岩です」、という男に連れられ葛飾柴又へ行った。ひと月近く前の2月下旬、まだ本格的に寒いころ。 葛飾柴又、もちろん初めてではない。何度か行っている。 しかし、この日案内をしてくれた小岩生まれの男、生まれ在所の…

春か、東博の庭。

4〜5日前、内視鏡検査の後、東博へ行き休憩した。 少しキツイなとか、ちょっと休みたいな、という時、コーヒー屋に入ることもあるが、東博で休むこともある。屋外のベンチや館内のソファでひと休みする。 東博構内、来週から始まる”ボストン美術館から持っ…

一本松(続き×5)。

陸前高田の一本松、私が見たのは、ふた月近く前の1月22日。 昨日触れた『復刊 アサヒグラフ』に載った”吹雪に耐える一本松”より10日ばかり前。 この日の三陸のリアス海岸、少し山の中に入ると雪が降っていたが、海岸部へ出ると雪はない、という天候であ…

一本松(続き×4)。

陸前高田の一本松、どのぐらいの人が、どれぐらいの写真を撮ったのだろうか。一本松の写真、印刷物や電波やネットの世界にどれぐらい発表されてきたのだろうか。数えきれない数に違いない。 枝は、先の方に少し残るのみ。さほど大きな木ではないが、さして小…

一本松(続き×3)。

陸前高田の高田松原、かっての姿。今、1本を除き、7万本が消えた。 震災の前日、10日のTBSテレビ「報道特集」の映像から。 陸前高田の将来像、こう描いている人たちがいる。 右手には、大津波で流された三日月状の高田松原も描かれている。高田松原な…

一本松(続きの続き)。

この11日、日本中のあちこちで追悼、また、鎮魂の催しが持たれた。長野の善光寺では、4体の地蔵菩薩の開眼法要も行なわれた、という。今日昼前のフジテレビの映像。 「高田松原を未来に 地蔵に込めた思い」、善光寺での震災一周忌法要。 4体の地蔵菩薩を…

一本松(続き)。

おどろおどろしい九相図と、マックスここまで、これ以上は無理、と思われるご自身のアイメーキャップによって、メキメキと人気作家となった松井冬子、先週木曜のNHKエル・ムンドにもゲスト出演していた。 松井冬子、生物としての女の痛みこそ美しい、と考…

一本松。

地震、津波、原発事故、桁外れの大震災に見舞われた日本、昨年、その日本を救ったものが二つある。なでしこジャパン、なかんずくそのキャプテンの澤穂希と、陸前高田の一本松だ。 彼ら(彼女らか)、打ちひしがれた日本を力づけてくれた。希望を灯してくれた…

一年。

1年となる。1年が経った。1年が過ぎた。 ”もう”か、”はや”か。しかし、現実は、”まだ”であろう。 政府主催の「東日本大震災一周年追悼式」、国立劇場で行なわれた。 天皇、皇后両陛下、出席される。 2時46分、黙祷。 天皇の「おことば」、お心のこもっ…

解かっても、解からなくても。

美術展のタイトルなど、そのものズバリその通り、という即物的なものか、何だかよく解からないな、というモヤモヤとしたものかのどちらかである。 4月15日まで、DIC川村記念美術館で開かれている企画展・「抽象と形態 何処までも顕れないもの」展は、…

佐倉の桃源。

佐倉は、少し遠いし不便だし。また、そこからバスで行くなんて。本数もあまりないし。さらに、・・・・・。 そういう所に、DIC川村記念美術館はある。私も、久しぶりで行った。おそらく、7〜8年ぶり。 1月末、千葉市美術館での「マルセル・デュシャン…

瀧口修造がいた。

千葉市美術館はローカルな美術館であるが、時折り、オッという企画展を催す。昨年末から1月末まで開かれていた「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展、ガァーッと力が入っていた。 第1部は、「大ガラス」を未完のまま放棄した1923年以降のマルセル・デ…

東北へ行くということ。

画廊主催の展覧会を開くことができればいいが、私の周りの絵描き連中、そういう人は、まあいない。 年に何度も作品を発表する、ということは大変なことなんだ。下世話な話、お金もかかる。画廊が出してくれるわけではない。大方は、すべて自己負担。 しかし…

安ホテルのベン・シャーン。

あと1週間で、大震災から1年となる。大震災に関する報道も多くなっている。昨年末から日本を巡回しているベン・シャーン展についてのことごとも、目につく。 ベン・シャーン展、昨年末の神奈川県立近代美術館から始まり、現在は名古屋市美術館で開かれてい…

赤い材木と岩手の土。

数日、お休みしました。少し具合が悪かった。そろりと戻ります。 日本の美術館の中では、少しスペースに余裕があるためもあってか、MOTでは、常設展の中でもテーマを設定した企画展を行なっている。いわば、常設展中の特別企画。今年初めはこのようなもの…