2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「住み果つる慣らひ」考(16)。

1997年(平成9年)2月5日、江國滋は宇都宮の病院に入院し、翌6日、さまざまな検査を受ける。 実は、その前年の初秋のころから胸に違和感を覚えていたが、原因が明らかになることを恐れたのかなかなか医者にかかろうとしなかったそうだ。心配した奥さ…

原沢、王子谷の攻防、見応えがあった。だが、リネールに通用するか。

昭和の日、柔道の全日本選手権、久しぶりに見た。家にいたならば見ているはずなのに、ここ数年出かけていたのか。 毎年、昭和天皇の誕生日に日本武道館で行われる全日本柔道選手権、体重無差別、柔道本来の姿で行われる。 軽、中量級の選手が挑むことはある…

パンムンジョム劇場。

今日は一日、芝居を見ているようなものであった。面白かった。 まず舞台設定がいい。場所は板門店である。これがいい。劇場効果を高める。 朝鮮半島の南北首脳会談3度目であるが、前の2回は金大中にしろ盧武鉉にしろ韓国の大統領が平壌へ行き、金正日と会…

「住み果つる慣らひ」考(15)。

<はっきりと言えることは、「私は厭世論者でも虚無主義者でもない」ということである。また「ものごとから常に逃避する傾向の人間である」ということでもないし、さらには「肉体的・精神的に、どこか不健康である」ということでもない>。 須原一秀の『新葉…

「住み果つる慣らひ」考(14)。

養老孟司と隈研吾が対談している。『日本人はどう死ぬべきか?』(日経BP社 2014年刊)。 <あの二人の放浪老人ぶりはいいですねえ>、と隈研吾。 <日本人は元来ああだったんだと思いますよ>、と養老孟司。 あの二人って、お察しの通り芭蕉と西行。…

「住み果つる慣らひ」考(13)。

今月初め、日本尊厳死協会の会報「Living Will」 No.169が届いた。 日本尊厳死協会については何度か触れている。近場では昨年1月にかなり詳しく記した。巻頭に、小泉純一郎を囲んだ座談会が掲載されているNo.164の時。 今一度、リビン…

「住み果つる慣らひ」考(12)。

誰が編んだのかは分からない。が、ある世捨て人、一狂客、一隠者がその当時の俗謡、小唄を311首集めて編んだ。 『閑吟集』である。 成立した年は分かっている。永正15年、1518年である。室町時代の後期。 流行歌謡、いわば今につながる流行歌である…

「住み果つる慣らひ」考(11)。

近代日本を代表する哲学者のひとりである田辺元は、昭和20年3月京大教授を退官した後、終戦間際に軽井沢に隠遁する。 <「メメント モリ」は田辺の晩年の「死」をめぐる思想を簡潔に表現した文章であり、・・・・・、「「死の哲学」の梗概ともいうべきも…

「住み果つる慣らひ」考(10)。

いつであったか今年の初めの頃、昨年の日本の自殺者は2万幾らとかということを聴いた。日本の自殺者数は3万人を超えていると思っていたので、少し驚いた。 今、厚労省発表の数値を調べてみたら、昨年2017年の日本の自殺者数は21140人とある。この…

「住み果つる慣らひ」考(9)。

今日の昼間、座いすにもたれて半分うつらうつらしながらテレビを見るともなく見ていたら、「最後の講義 映画作家 大林宣彦」という番組が流れた。3月にNHKBSで放送されたものの再放送らしい。 大林宣彦、早稲田の大隈講堂(映像から見ると、小講堂の方…

「住み果つる慣らひ」考(8)。

爆発が大好きで「芸術は爆発だ!」と叫んでいた岡本太郎はアーティスト・芸術家であるが、若い頃ソルボンヌの哲学科で学んでいる。 <「死」と「生」はぶつかりあい、からみあっている。だからこそ生命が燃えあがる>。 <死の本能が私の全人間の底で、強烈…

「住み果つる慣らひ」考(7)。

ビートたけしであり北野武でもある男は「天才」と言われるが、果たしていつから天才になったのであろう。 ビートたけし、1994年8月2日の深夜、原チャリで事故を起こし死の淵を彷徨った。 その翌年の平成7年、新潮社から上梓された『たけしの死ぬため…

「住み果つる慣らひ」考(6)。

よく長生きをした人を「人生の達人」と呼ぶことがあるが、そのような人は概ね生き死にについて、のんびりというかゆったりというか、まあ、あまり深刻に考えていない人が多い。のんびりがいいんだ。 もういい加減な年なのに、「私、なんだか死なないような気…

「住み果つる慣らひ」考(5)。

実はこの”「住み果つる慣らひ」考”の小連載、この2月にまた肺炎になり入院した折り、そうだなオレもと思い、3月に入り、そう言えば1年前にも具合が悪くなり「私の『あと千回の晩飯』」を書いたがそれから1年が経つなと思い、その内77歳となり、孫たち…

「住み果つる慣らひ」考(4)。

日本人の平均寿命が85歳ぐらいになったのは、ついこの数十年の間のようだが、明治維新の頃までは日本人の平均寿命が50歳であった、という山折哲雄の記述には驚いた。 が、それ以前はどうであったろうか。 <命永ければ辱多し。永くとも、四十に足らぬ程…

「住み果つる慣らひ」考(3)。

さまざまな人が「どう死ぬかってことは、どう生きるかってことなんだ」、と言っている。 じゃあ「生きるってなんなんだ」ってことになってくる。 こんなこと、もの思う10代後半の若者ならばいざ知らず、77歳・喜寿を迎え、時折り入退院を繰りかえすジジ…

「住み果つる慣らひ」考(2)。

久しぶりに山田風太郎の『あと千回の晩飯』を読んでいたら、また全部読んでしまった。 ジジババ年寄りの話だとか、病気の話だとか、メシの話だとか、生き死にの話だとか、といったようなまあ、あまり、どちらかと言えば明るくないことごとを記しているのであ…

「住み果つる慣らひ」考。

もう一年以上前となる。昨年3月中旬、私はこの「流山子雑録」に『私の「あと千回の晩飯」』を記した。 そのひと月ほど前からどうも身体の具合がおかしく、なにかヘンな感じがし、ブログも丁度一か月ばかり休んだあと、一か月ぶりに記したタイトルであった。…

パラリンピック(6) 白と赤。

ピョンチャンパラリンピック、白い色と赤い色が目立っていた。表彰式へメダリストを誘導する女性の衣装も赤と白。閉会式の映像も白と赤、特に白色。 韓国、諸々のことは陰陽五行説に基づいている。色彩では、青、赤、黄、白、黒の五方色。中でも基本中の基本…

パラリンピック(5) 走る。

堪え性がなくなった。4月になってしまった。パラリンピック、あと少し。 アルペンやスノボーも面白いが、ノルディックも面白い。ただ走るだけ。その面白さ、陸上のマラソンと同じ。マラソンというもの、ただ走るのを、時として飯も食わずトイレにも行かずに…