2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

味園ユニバース。

新宿歌舞伎町を舞台とした昨日の『さよなら歌舞伎町』も面白く素晴らしい作品であるが、大阪ミナミ千日前を舞台としたこの作品も面白い。 『味園ユニバース』、監督:山下敦弘、脚本:菅野友恵。 主演は、関ジャニ∞の渋谷すばると二階堂ふみ。 ”関ジャニ∞の…

さよなら歌舞伎町。

新宿歌舞伎町のラブホテルが舞台のお話である。主人公は、あの大震災で大きな被害にあった塩釜出身の若者・高橋徹。歌舞伎町のラブホテルの雇われ店長だ。幾つもの人生が交錯する。 今年初め、まだ寒い頃のテアトル新宿の入口。 歌舞伎町は、この左斜め後ろ…

百円の恋。

土俵の鬼・初代若乃花は、「土俵の中にはゼニが埋まっている」、と言った。 今、そのようなことを考えて角界に入門する日本人はいない。初代若乃花と同じようなハングリー精神を持って相撲の世界に身を投じよう、という若者はモンゴルや東欧の若者ばかりであ…

そこのみにて光輝く。

パチンコ屋で「火を貸してくれ」と言ってきた兄ちゃん・拓児に、達夫は使い捨てのライターをやる。 拓児は達夫を家に連れてくる。海沿いに取り残されたバラックに。自転車をこぎながら。 たった2間のバラック、奥の部屋には脳梗塞の父親がいる。疲れ果てた…

大相撲夏場所千秋楽 時代は動いた。

今場所は、ゆっくりと相撲を見ることができなかった。中入りの後半戦を何日か見た程度。 千秋楽の今日こそはゆっくり、と3時前にテレビをつけた。まだ十両の半ば、里山が巻き落としを決めたところであった。 初日に敗れた白鵬、途中からはトップに立ち、今…

キネマ旬報95年(続き×3)。

「キネ旬」ときたら、忘れてはならないものがあとひとつある。 今年春先の柏、キネマ旬報シアターには、このような紙も貼ってあった。 キネ旬のベスト10である。 直近の「2014年 第88回 キネマ旬報ベスト・テン&個人賞」は、3か月前の「キネマ旬報…

キネマ旬報95年(続き×2)。

柏、キネマ旬報シアターの2階。キネ旬の古い表紙に混じり、このような紙片が貼ってあった。 ごく大まかなキネ旬の歩み。 キネ旬、東工大の学生たちが始めたんだ。 1940年から1950年の復刊まで、ほぼ10年に及ぶブランクがある。外国映画の紹介を続…

キネマ旬報95年(続き)。

「キネマ旬報}が創刊されたのは、1919年だそうである。だから、昨年創刊95周年を迎えた。 昨年秋から今年初めにかけ、柏のキネマ旬報シアターでは、それを記念した「キネマ旬報」の表紙展を開いていた。「キネマ旬報」の表紙、多くはその折々のスター…

キネマ旬報95年。

一昨日は新宿へ。学生時代の仲間が出品している展覧会を観、その後古い仲間7〜8人で西口の居酒屋へ。気がつけば4時間以上の滞在。昨日は通学日。1時間半の授業を受けた後、夜は柏へ。パトリス・ルコントの傑作『髪結いの亭主』を観る。粋でとてもエロテ…

深夜食堂。

新宿、大ガードを西口から東口の方へくぐり、靖国通りを進んだ花園神社の近辺の路地裏にめし屋がある。ゴールデン街の辺りとも思われる。 営業は深夜のみ。午前0時に暖簾を掲げ、朝7時ごろ店をたたむ。深夜食堂である。メニューは、酒と豚汁定食のみ。が、…

シェフ 三ツ星フードトラック始めました。

「オレがオーナーだ。勝手にメニューを変えるな。オレの言うことが聞けなきゃ・・」、「クビにするか?」、「しょがねーだろ」、「クソッたれ、辞めてやる」。2人の男が怒鳴りあう。 「オレがオーナーだ」、と叫く男は、ロサンゼルスの一流レストランのオー…

マダム・マロリーと魔法のスパイス。

昨日は妖怪ハンターと妖怪の”とんでもねー”バトルの物語であったが、この『マダム・マロリーと魔法のスパイス』もバトルに次ぐバトルで始まる。 南フランスの片田舎にあるフレンチレストラン、オーナーはマダム・マロリー、ミシュラン1つ星の格調高い老舗で…

西遊記 はじまりのはじまり。

ありがたい経典を持ち帰るため、三蔵法師が孫悟空と猪八戒、沙悟浄を伴とし天竺への旅をするのが「西遊記」である。そう思っていた。 そういうありがたい物語を観ようと思っていたら、とんでもない物語であった。 「とんでもない」じゃなく、「とんでもねー…

エクソダス 神と王。

今から3300年前、紀元前1300年ごろの古代エジプト。ひとりの男が40万人のヘブライ人を救う。旧約聖書の「出エジプト記」、モーゼの物語。 ”戦う者だけに、「奇跡」は訪れる。”、とある。 モーゼ、栄華を誇る巨大な王国、古代エジプトで王家の養子…

女神は二度微笑む。

世界一の映画大国がアメリカからインドへ移って久しいが、ボリウッド、量ばかりじゃなくその質においても、その存在感は増している。近場の作品でも、『マダム・イン・ニューヨーク』や『めぐり逢わせのお弁当』はじめ洒落た作品を生みだしている。この『女…

至高のエトワール。

今年は第二次世界大戦の終結から70年。さなざまな記念行事が行なわれている。 一昨日には、モスクワ、クレムリン前の赤の広場で、ロシアの対ドイツ戦勝70年記念の軍事パレードが行なわれた。60年記念の時には顔をそろえた欧米日の首脳はボイコット。プ…

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札。

1956年、ハリウッド女優・グレース・ケリー、モナコのレーニエ3世と結婚、モナコ公妃となった。 これは、その6年後の物語。 洋の東西を問わず、一般家庭の女性が王室に嫁すと、その日常、それは大変だ。 モナコ大公の嫁となったグレース・ケリーも、気…

美女と野獣。

美男美女って言うけど、美女はさておき美男って誰だろう、と考える。 ずいぶん昔、「柳亭痴楽はいい男。鶴田浩二や錦之助、それよりずうーといい男」、と言っていた噺家がいた。鶴田浩二や錦之助も美男とは言われたが、とびきりの美男ではない。 その少し前…

太秦ライムライト。

昨日は外出しており、帰宅も遅かった。酒を飲んで酔ってもいたが、ブログは書いておこうと思い、うつらうつらとした状態で書き始めた。 今日、見てみると終りの方は1行のみが続いている。”不思議な世界だ”、”モラルの崩壊、・・・”、”ロシアの大地の”、”神…

神々のたそがれ。

昨日のルキノ・ヴィスコンティの作品『ルートヴィヒ』の元々の副題は、「神々の黄昏」。ワーグナーがらみ。 偶々であるか、「神々の黄昏(たそがれ)」と題する映像作品が創られた。ロシアのアレクセイ・ゲルマンの作品『神々のたそがれ』。 『神々のたそが…

ルートヴィヒ。

1年少し前、同名の『ルートヴィヒ』が封切られた。監督はマリー・ソエル&ピーター・ザアー、主人公のルートヴィヒ2世に扮したのは、ザビン・タンブレアなる役者であった。 バイエルンの狂王と呼ばれたルートヴィヒ2世の生涯を、追ってはいた。しかし、映…

時計じかけのオレンジ。

キューブリック特集、他の3作が上映されたのは1週間のみ、『時計じかけのオレンジ』のみ4週間を通してかけられた。 スタンリー・キューブリック、子供のころから写真の才、飛びぬけていたそうだ。 ユートピアとは真逆にディストピアがある。 キューブリッ…

フルメタル・ジャケット。

クリント・イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』、大詰めでアメリカのスナイパー、クリス・カイル、敵の凄腕スナイパー、ムスタファと対峙する。スタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット』の大詰めにも似た状況が出てくる。アメリカの…

アメリカン・スナイパー。

満4年となる。2011年5月2日、ホワイトハウスの地下の一室。 オバマ以下ヒラリー・クリントンその他、時の政権の主だったメンバーが見つめているモニターに映像が届いた。アフガニスタンに近いパキスタン北部に潜んでいたアル・カイーダの首領・ウサマ…

毛皮のヴィーナス。

鬼才とか巨匠とかと呼ばれ、確かにそれに異を唱える人はいないが、それよりもこの人は、超人とか怪人の範疇に入る人である。 1933年生れのロマン・ポランスキー、第二次世界大戦の際には、ゲットーにも入れられていた。母親はアウシュビッツで殺されてい…

ゴーン・ガール。

悪い女の物語である。 コワーイ女の話である。 ファム・ファタールの一典型である。 ポスターの色調も沈んでいる。 結婚5周年の記念日、妻のエイミーの姿が忽然と消える。 リビングには争った跡があり、キッチンには大量の血痕が発見される。 警察は他殺と…