ヨコトリ(7) 梟に非ず鷹だった。

第4話、「たった独りで世界と格闘する重労働」、と森村泰昌が言う部屋の一番奥へ近づくにつれ、「オッ、島谷じゃないか」、という思いが強くなる。

だんだんと大きく、こういうものが現われてきたので。
真ん中の鳥、まさに島谷だ。島谷が描く鳥。島谷晃、何年か前に死んじゃったのに。
サイモン・スターリング作≪鷹の井戸(グレースケール)≫。

こういうことだそうである。読むことができればいいが。こういうことなんだ。
アイルランドのイェイツ、日本の能に触発されて舞踊詩劇を書く。タイトルは”At the hawk’s well”。≪鷹の井戸≫である。
1916年、ロンドンで演じられた時の衣装をサイモン・スターリング、グレースケールとしている。

島谷の鳥は、梟であった。
しかし、この鳥は、鷹である。

とてもよく似ている。梟と鷹という言葉が持つイメージ以上に。しかし、島谷晃とサイモン・スターリングは、やはり異なっているのだろう。その描く鳥、とてもよく似ているが。

イェイツによるケルト能”At the hawk’s well”のワキ、老人。

こちらは若者。

ガラスケースの中には、インクジェットでプリントアウトされた絵柄が幾つも幾つも。
梟に非ず鷹であった。が、暫し島谷を思った。