2013-01-01から1年間の記事一覧

時は流れる。

今月半ばのことである。 久しぶりで浅草へ行った。焼き鳥屋へ入った。 ずいぶん昔から行っている店であるが、たまにしか寄らない。その時も久しぶり。 小さな店である。鉤の手のカウンターには、せいぜい10人がいいところ。後ろに小さな机と椅子が二つばか…

東博ライトアップ。

暫らく前のニュース映像では、東京駅や大阪城のライトアップの様子が流れていた。やけに凝ったものであったような印象がある。 そのように凝ったものではないが、東博でもライトアップが行なわれた。11月1日から3日にかけての3日間。本館の正面壁面に、…

東博庭園、 この秋。

10月下旬から始まった東博秋の庭園解放、11月初めに行ったら木々は青々。で、11月終りに、また行った。 東博の庭園に入り、少し進んだところ。 11月初め、紅葉にはほど遠い。 11月終り、春草廬への小道にはりだした枝々、今だしのキライはあるが色…

上海博物館 中国絵画の至宝展。

中国の絵って、よく観たことがない。中国のアートと言えば、どうしても彫像や陶磁器、青銅器などに目がいってしまう。 だから、絵描きも知らない。かろうじて知っているのは、日本人好みの牧谿と南蘋派に名を残す沈南蘋の二人のみ。上海博物館からの「中国絵…

京都 洛中洛外図と障壁画の美展。

東博でのこの秋の特別展。東博、「京都でも見ることのできない京都」、と謳う。 最近の東博、やや大袈裟にすぎる惹句が目につく。しかし、今回の惹句はそうではない。確かに、そう。 まず、室町期から江戸期にかけて描かれた「洛中洛外図屏風」。現在、国宝…

遊・桜ヶ丘 現在進行形 野外展。

何十年ぶりに聖蹟桜ヶ丘へ降りたら、びっくりした。 デパートなどがある大きな町に変わっている。バスで10数分の原峰公園までの車窓に出てくる家々も、やけに洒落た家が多い。聖蹟桜ヶ丘、高級住宅地に変貌したようだ。この何十年の間に。 高野山、熊野三…

バー十月での犬飼展。

もう師走恒例の行事となってしまった。 5時に新宿紀伊国屋の前で、50年を越えるつき合いの友、R.H.と待ち合わせ、居酒屋へ行く。ここ数年は、区役所通りの安い居酒屋へ。いくらか飲んだ後、ゴールデン街へ。 師走恒例、バー十月での犬飼三千子の展覧に…

小雪展。

2〜3日前は冬至であった。大雪は12月の上旬に過ぎた。二十四節気のその前、小雪は11月の下旬だった。 丁度その頃、ひと月ほど前、小雪展と名づけられたグループ展が催された。銀座6丁目のギャラリーGKで。山本宣史が参加している。 ギャラリーGK…

レザン展。

霊場巡りが長く続いたので、友人たちの展覧会をアップするのが遅くなった。 先ずは、ひと月少し前のレザン展での後藤亮子の作品から。 会場は例年通り、新宿ヒルトン地下のヒルトピア・アートスクェア。昔の仲間と観に行った。 後藤亮子、F4からF10まで…

高野・熊野・伊勢巡り(32) 内宮(皇大神宮)(続き)。

内宮の正宮を後に、歩を進める。 玉砂利を踏んで。 雨に濡れた玉砂利、湿った音がする。 あちらこちら、大きな木が目に入る。 伊勢神宮の中に身を置いていることを実感する。 『伊勢神宮と天皇の謎』の著者・武澤秀一は、こう記している。 <皇祖神アマテラ…

高野・熊野・伊勢巡り(31) 内宮(皇大神宮)。

外宮から内宮へ、三重交通、ウイークデーにもかかわらず臨時のシャトルバスを次々に出している。乗る人は多い。 式年遷宮のお伊勢さん、大勢の人が詰めかけている。 伊勢神宮の建物、掘っ立て柱に茅葺きの屋根である。柱を直接地中へ埋める、という原始的な…

高野・熊野・伊勢巡り(30) 外宮(豊受大神宮)(続き)。

ところで、以前に触れた武澤秀一著『伊勢神宮と天皇の謎』によれば、式年遷宮というもの、伊勢神宮ばかりでなく、住吉大社(大阪)、香取神宮(千葉)、鹿島神宮(茨城)、諏訪大社(長野)、宇佐神宮(大分)、貫前神社(群馬)、下鴨神社(京都)など、か…

高野・熊野・伊勢巡り(29) 外宮(豊受大神宮)

紀伊勝浦から伊勢へ。 新宮で特急に乗り換え多気へ。多気から普通に乗り換え伊勢市へ。JRで3時間少し。 この日も雨模様。 JRの車窓の外、鈍色の空、鈍色の海。 参宮線へ乗り換える多気の駅には、このようなポスターが。 <遷宮は教えてくれます。千三百…

高野・熊野・伊勢巡り(28) 勝浦漁協まぐろセリ(続き)。

まぐろの水揚げが多い港は、焼津、三崎、清水。しかし、生まぐろの水揚げが最も多い港は、紀伊勝浦だそうである。 勝浦、サンマ漁も盛んだそうだが、何と言っても生まぐろ。そのセリ、延々と続いている。 セリにかかっていないまぐろ、まだまだある。 勝浦港…

高野・熊野・伊勢巡り(27) 勝浦漁協まぐろセリ。

実は、昨日のコストパフォーマンスのべらぼうに高いまぐろ定食の竹原のオヤジさん、こう言っていた。 「朝、7時ごろ、すぐそこの港に行けば、まぐろのセリが見られますよ」、と。「誰でも見ることができます」、とも。 翌朝、見に行った。 オッ、凄い。 こ…

高野・熊野・伊勢巡り(26) まぐろ定食。

那智の滝からバスに乗り、紀伊勝浦へ。 さほど遅い時間ではないが、晩秋である。勝浦駅前へ着いた時には、日はとっぷりと暮れていた。6時すぎの勝浦駅前、暗い。ほとんどの商店、すでに店を閉めている。 ホテルへ電話し、在り処を訊く。駅前から歩いて1〜…

高野・熊野・伊勢巡り(25) 那智の滝(続き)。

前方の鳥居に近づく。 那智の滝、那智の大滝、御瀧、飛瀧神社が現われる。 雨が入り、カメラの中曇ってきて不鮮明であるが、銚子口から毎秒1トンの大量の水が流れ落ちる。一段の滝としては、落差日本一である。 また、しばしば日光の華厳の滝と較べられるが…

高野・熊野・伊勢巡り(24) 那智の滝

青岸渡寺から那智の滝へ行く。概ね、下る。 那智大社、青岸渡寺、そして那智の滝、私は最も楽なコースを選んだ。ほぼ下り、という。 青岸渡寺の三重塔を通し、那智の滝を見る。 孫引きの孫引きをする。 日本のあちこちへ旅している池内紀の著『日本風景論』…

高野・熊野・伊勢巡り(23) 青岸渡寺。

熊野那智大社のすぐ隣には、青岸渡寺がある。天台宗のお寺である。 朱色の門をくぐれば、すぐそこは青岸渡寺の本堂・如意輪堂である。 青岸渡寺のパンフレットにある「那智山青岸渡寺通称那智山沿革」から、幾つかのキーワードを含むフレーズを拾う。 <仁徳…

高野・熊野・伊勢巡り(22) 熊野那智大社(続き)。

拝殿前には、お清めの護摩木がある。 小学1、2年生坊主と赤ちゃんを抱いた若い夫婦が、護摩木を手にしていた。1、2年生坊主と赤ちゃんの幸せを祈ってのことだろう。 私も、孫娘の幸せを祈念して一つ求めた。 ここで焚きあげる。 拝殿で祈る人。 巫女さん…

高野・熊野・伊勢巡り(21) 熊野那智大社。

新宮駅前を1時半に出るバスで那智へ向かう。 その前日、親切な運転手のおかげで求めた熊野三山フリー切符を使って。途中、JR那智駅のコインロッカーへ小さなリュックを預け、那智山へ。中世の上皇や女院と同ルート。 熊野古道、よく知られたものが幾つか…

高野・熊野・伊勢巡り(20) 反逆の熊野。

夜陰に紛れ酔っぱらって帰り、ボーとした頭で書いていると、やはり問題がある。 昨日のブログ、今日読みなおしてみると、幾つものミスがある。小さなことは、”まあいいか”でよしとする。しかし、2、3、どうしても気になるところは、手を入れておきたい。 …

高野・熊野・伊勢巡り(19) 中上健次資料収集室(続き)。

今日も柄谷行人の記述から入ろう、と思ったが、その前振りに中上健次の暴力性から。 中上文学、エロスとヴァイオレンスに塗れているが、中上健次自身、その暴力沙汰はつとに知られている。瀬戸内寂聴の『奇縁まんだら 続』(日本経済新聞出版社、2009年…

高野・熊野・伊勢巡り(18) 中上健次資料収集室。

柄谷行人は、ものを考えることを生業としている男であるが、時折りヒョエーってことを言う。例えば、こんなことを。 「私が初めて新宮を訪れたのは、中上健次が亡くなる3日前であった。生前の中上から何度も誘われたにもかかわらず、ついに行かなかった。何…

高野・熊野・伊勢巡り(17) 佐藤春夫記念館(続き)。

佐藤春夫記念館、面白いところはそこここにある。 こういうコーナーがある。 佐藤春夫は、明治25年(1892年)、新宮の医者の家に生まれる。長男である。当然のこと医者に、という親の意に反し、若年の頃より詩歌の世界にはまりこむ。 ところで、新宮を…

高野・熊野・伊勢巡り(16) 佐藤春夫記念館。

速玉大社のすぐ裏に、新宮市立佐藤春夫記念館がある。 佐藤春夫記念館入口。 記念館の建物。 設計は、やはり新宮が生んだ傑物のひとり・西村伊作(文化学院の創設者)の弟である大石七分。 文京区関口町の佐藤春夫の家を、そのまま移築したそうだ。 移植した…

高野・熊野・伊勢巡り(15) 熊野速玉大社(続き)。

熊野速玉大社、、とてもカラフル。 緑の格子を通し中を見る。 それにしても、とてもカラフル。 向うの方に、大勢の人が集まっているところがある。 上皇や女院、やんごとなきお方の熊野御幸の一覧である。 宇多上皇から玄輝門院まで(碑文の一覧とは少し異な…

高野・熊野・伊勢巡り(14) 熊野速玉大社。

熊野三山、1000年前の上皇や女院と同じく、私も熊野本宮大社から熊野速玉大社へと経回っていく。 熊野速玉大社の参道入口。 新宮駅からさほど離れていない。熊野川にもほど近い。 入って少し歩くと、八咫烏神社がある。 「やはり」って感あり。 八咫烏神…

高野・熊野・伊勢巡り(13) 熊野川。

本宮大社には2時間ばかりいた。3時半近くのバスで新宮へ向かった。新宮までは1時間少し。 乗客は、紀伊田辺から本宮までのバスに乗っていた男と私の二人のみ。採算割れもいいとこだ。いかに紅葉には少し早いウィークデーであるとはいえ。私がどうこう思っ…

高野・熊野・伊勢巡り(12) 熊野本宮大社(続き)。

高野も熊野も、「野」という語がつく。これに吉野を加えた「野」がつく三つの地、いずれも古来からの霊場である。 <しかし、「野」は未開地をさす語と考えれば、共通した性格が理解される。・・・・・また熊野の「熊」は隈の意で、熊野は「奥まった野」=奥…