ヨコトリ(11) 大竹だっ。文句あっか。
ハングルのダンボールの向こうにこれが見えてきた。
遠目にも、ひと目見ただけで大竹伸朗。
車輪が付いてるな。
≪網膜屋/記憶濾過小屋≫か。
近寄る。
大竹伸朗の≪スクラップブック≫をデカくしたようなものだな。
2006年、MOT(東京都現代美術館)で大竹伸朗の大回顧展が催された。「大竹伸朗全景 1955−2006」展。分厚い幾つもの大竹の≪スクラップブック≫があった。
その図録もすさまじいものだった。分厚く、重さは6キロある。その図録、「全景展」の会期中にはできあがらなかった。できあがったのは、その1年後。
その間、何度も遅延のわび状が届いた。私は、1年後届いた「全景展」の図録に、それらのわび状も含め「全景展」がらみのものを貼りこんだ。大竹の≪スクラップブック≫に倣って。世界でただひとつの大竹伸朗の書にしよう、と思って。だから、元々6キロあった「全景展」の図録、6.5キロに近くなっている。
それをデカくしたようなもの、この作品。
より近寄る。
この四角い窓から中が見える。
中を覗くと、こう。ナンじゃこりゃ。
夥しい写真が貼りこまれている。
外へ戻ると、ウヌッ、ワニがいる。
蛇口も。
大竹伸朗の世界だ。
大竹伸朗、こう叫んでいる。「大竹だっ。文句あっか」、と。
多くの皆さん、デカい≪スクラップブック≫の周りをぐるぐる周る。