坪内博士記念演劇博物館。

通称演博・エンパク、正式名称は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、我が国唯一の演劇博物館である。
昭和3年(1928年)、坪内逍遥博士が古稀の齢に達したのと、その半生を傾倒した「シェイクスピア全集」全40巻の翻訳が完成したのを記念して、各界有志の協賛により設立された、と言う。
日本国内はもとより、世界各地の演劇、映像資料が揃っている。
錦絵4万7千枚、舞台写真20万枚、図書15万冊、その他演劇資料5万余、数十万点に及ぶ膨大なコレクションを誇る。

エンパク、坪内逍遥の発案で、エリザベス朝時代、16世紀イギリスの劇場「フォーチュン座」を模して今井兼次らにより造られた。
正面の屋根のある張り出しは舞台。
常設展、企画展ばかりでなく、さまざまなイベント、コンサート、公演が行なわれている模様。

今の企画展は、「寄らば斬るぞ! 新国劇と剣劇の世界」。澤田正二郎、澤正の世界。
なお、舞台正面(左上)の文字は・・・

Totus Mundus Agit Histrionem、”全世界は劇場なり”というラテン語。

館内、廊下の撮影は許されている。なかなか味があるんだ。

2階へ上がる階段には、ウヌッ何じゃこりゃ、澤田正二郎、澤正がいる。

まぎれもなく澤正だ。

企画展「寄らば斬るぞ!」、澤正の新国劇、剣劇、チャンバラの世界を見せてくれる。シェイクスピアはシェイクスピアとして、早稲田にはチャンバラが似合うんだ。
この写真は、澤正の月形半平太。

「新撰組」の澤正。
実は、澤正・澤田正二郎もまた坪内逍遥の弟子、教え子である。

廊下と階段以外唯一カメラが許されている「坪内逍遥記念室」。

その天井。
逍遥、未年の生まれだそうだ。で、天井にも羊が。

長谷川栄作による「逍遥木彫像」。昭和9年の作。

シェイクスピアの姿が。

逍遥、豆本を集めていた、と言う。自身の翻訳本の豆本も。

「一讀三嘆 当世書生気質」。
<晩青堂、明治18年6月〜19年1月 逍遥最初の本格小説>、とある。

逍遥の筆記具も。

3階廊下。映画のポスターがかかる。
『江戸最後の日』、主演は阪妻。『宮本武蔵』の主演は三船敏郎。

<レヴュウの女王京マチ子大映入社 第一回出演映畫最後に笑う男>。1949年のポスター。

3階から2階、2階から1階へと階段を降りる。
階段や廊下、味がある。
エンパクを出た左、逍遥の銅像の台座には、師逍遥を偲ぶ會津八一のこの歌が。
     むかしひと こゑも ほがらに
     たくうちて とかしし 於もわ
     みえ きたる かも