ヨコトリ(4) バーミヤン。

これも<華氏451はいかに芸術にあらわれたか>の一断面。

正面にビデオモニターが見える。右の方には、小さな机の上に何やら小さなものが乗っている。

2001年、タリバーンはバーミヤンの大仏を爆破した。大仏がおわした石窟の中は、ガランドウとなった。

こう話す彼らが何者であるかは知らない。

こうも語る。

このビデオ、マイケル・ラコウィッツの作。タイトルは、『どんな塵が立ち上がるのだろう?』。2012年の作。

女性は、髪を被っている。アフガンの人なのか。

仏像を彫るってことはムスリムではない。アフガンの人ではなく、他国から来た人のようだな、やはり。
それにしても、バーミヤンで仏像を彫るってことが行なわれているんだ、今。

仏像ばかりじゃない。バーミヤンの大理石から彫りだした3冊の本。鉄のノミのようなものもある。
この作者もマイケル・ラコウィッツ。タイトルも同じく≪どんな塵が立ち上がるのだろう?≫。その”2”、”4”、”17”バージョン。
マイケル・ラコウィッツ、多くの≪どんな塵が立ち上がるのだろう?≫を制作しているようだ。”華氏451”同様、書への思い入れである。タリバーンを糾弾する。

これはバーミヤンの鍛冶屋が造った石を削るノミ。チガルというそうだ。
その材料が面白い。
破壊されたソ連軍の戦車と廃棄された米軍車両の部品を使っているそうである。
2012年のマイケル・ラコウィッツの作品、タリバーンばかりじゃなく、アフガンへ攻め入った旧ソ連とアメリカの二つの超大国をも、その責任を追っている。

こういう記述がある。
読めるとは思うが、念のため記すと・・・
<1941年9月9日のイギリス空軍のドイツ・カッセルの美術館・博物館への爆撃、貴重な古写本を含む40万冊の図書の85%が失われた。1943年、2回目の爆撃で残りの書も破壊されろと、この館の目録はナチスがヨーロッパ中の図書館を襲って不法に手に入手した書物ばかりで占められるようになった>。
何ということだ。
マイケル・ラコウィッツ、、手当たりしだい、書物の敵を指弾する。米ソ、イギリス、ナチスドイツ。

もちろん、タリバーンにも。

ンンッ、モハマド(ムハンマド)・オマル、タリバーンの最高指導者である。
その行方は杳として知れず、長年、その生死は不明であるが、そのオマルがこう言っている。バーミヤン石窟の大仏爆破に関して。
「アッラー・アクバル」の言葉と共に爆破された映像の記憶があるだけに、血が騒ぐ。
本当か、この言葉。


今日、登校日であった。
学校へ行くと、構内に不思議な車が止まっていた。
小さな車、背中に何かのカンが付いている。ドアの横には、レッドブル、赤い雄牛の絵。その横には、若い娘さんが二人。若い男も二人いる。何なんだこの車。そう思い、若い男に訊ねた。この車は何なんだ、と。
炭酸飲料の宣伝車だという。オーストリアの炭酸飲料。日本には、10年前から入っている、と。若い人たちへ浸透しているようだ。知らなかった。
写真を撮っていいか、と訊くと、いいと言う。二人のお嬢さんがポーズをとってくれた。ブログに載せてもいいか、と訊くと、どうぞ載せてください、と言う。

で、この写真である。
Red Bull・赤い雄牛、カッコいい。
北京でのAPECも、2年半ぶりの日中首脳会談も、習近平の顔面筋をひとつも動かさない鉄面皮も、そのようなことには何ひとつ触れず、レッド・ブルの販促の一端を担ぐのもどうか、とは思うが、それはそれであろう。