河瀬和世 「和紙の世界」展。

ひと月ほど前、久しぶりで銀座奥野ビルの501号室へ行った。柔和なオーナーの丸山さんはいるかな、と思って。丸山さんはいた。
「アレッ」っと言って、柔らかい笑顔で迎えてくれた。
展示がとても面白い。「オゥー」という感じ。

あちこちデコボコの壁の前に置かれた、小さな椅子の上のArt Sapace RONDOの看板。
そこには、

”和紙の世界 Vol.2 河瀬和世”、と。

丸山さんと顔を合わせたのは、ギャラリー内へ入りこれを目にした後。
テーブルクロスのようなものも和紙。丸いボールのようなものも和紙。赤い色が透けて見えるその前のものも和紙である。
置いてある案内状には、「紙を畏怖し、神に捧ぐ」という言葉が刷りこまれている。紙というもの、神に繋がるんだ。そう言われれば、たしかに、そうだな。
文字と繋がる紙、たしかに、そうだ。

目の前には、これ。

紙が繋がっている。
不定形な和紙が。

その向こうには、このギャラリーのオーナーである丸山さんも。

横の方にある美しい箱の中には、多くの紙片が入っている。和紙の紙片が。
それを上の糊を使って、和紙の群れに貼りつけていく。私も何枚かの和紙を貼りつけた。

ところどころにある赤い印がついているものは、昨年の展示の折りのものだそうだ。
ということは、2年がかりの作品ということになる。2年をかけたインスタレーションである。
作家の河瀬和世さんがいた。河瀬さんに、いつ頃から和紙を使ったインスタレーション・アートをしているのか、と訊いた。その答えはこう。
「まだ、僅か30年ばかり」、と。
この”まだ”と“僅か”の言葉の中に、和紙が持つ長い”歴史”と”時間”が示されている。

和紙を媒介としたインスタレーション・アートなんだ。

和紙を通し丸窓が見える。

ヒビの入った丸窓、501号室の最大の売り。
如何に、作品のテーマと絡めるか。

「その目の前の和紙に触ってごらんなさい」、と作家の河瀬和世は言う。
さまざま説明してくれる。これも、「触れ」と。

ほどよく揉まれた和紙、しっとりとした絹のような手触りであった。

こういうものもある。
箱のような作品である。とても美しい。

内も外も和紙が用いられている。

河瀬和世さん、この作品を示した。これはこうこう、と。
タイトルは、≪格子のある部屋≫。
奥野ビル501号室の内部を描いたものだ、という。

501号室のこの部分。
換気孔やこの管の模様。

こういうところもあった。

ステイショナリー、カレンダーのようなものもある。
河瀬和世さんに、伊東屋あたりとのコラボで売りだしたらどうでしょうか、と言った。
河瀬さん、たちどころにこう言った。「とんでもない。私の作品は、量産できるものじゃありません」、と。
ま、たしかにそう。

カレンダーと言えば、これもそう。
とても面白い。

前後左右、多くの和紙が連なっている。
○○年、○○月、○○日、○曜日、ということが表示される。

まるで、美しく趣き深い100年カレンダーである。


アメリカ中間選挙、オバマ惨敗した。
下院のみならず、上院でも共和党に過半数を奪われた。
これからの2年間、レームダック状態のオバマを見るのは辛いな。