2014-01-01から1年間の記事一覧

映画と恋とウディ・アレン。

『映画と恋とウディ・アレン』、超秘密主義と言われるウディ・アレンに1年半密着したドキュメンタリー。 制作は2011年。日本公開は2012年末。見逃していた私が観たのは、この夏。 1935年、ニューヨーク・ブルックリンに生まれたウディ・アレン…

リスボンに誘われて。

ポルトガルは、アフリカの植民地に最後までしがみついていた。1年少し前、このブログに、ミゲル・ゴメスの『熱波』という不思議なポルトガル映画を紹介した。ポルトガルがしがみついていた植民地時代のアンゴラ乃至はモザンビークと、50年後のリスボンで…

ウィークエンドはパリで。

イギリス・バーミンガムに住む熟年夫婦が、ある週末パリへやって来る。結婚30年目の記念日を祝うため。歳のころは60代前半。夫のニックは大学の哲学教師、妻のメグは中学で生物を教えている。まあ、イギリスのインテリ夫婦、と言っていい。 30年前新婚…

アンドレイ・ルブリョフ。

9月初め、早稲田松竹で『アンドレイ・ルブリョフ』が上映されていることを知った。期間は、1週間。すぐ行った。 早稲田松竹へ行くなどということ久しぶり。と言うより、何十年ぶりである。 早稲田松竹の看板の前には、チャリンコが止まっていた。東博前と…

猿の惑星・新世紀(ライジング)。

昨日の”ルーシー”は、318万年前の猿人の名でもあるが、『猿の惑星・新世紀(ライジング)』に出てくる2020年の猿(ape、エイプ)は、凄い知能を持っている。 「ヒトの世紀が終わろうとしている」ってどういうこと? 猿インフルエンザの蔓延で、地…

ルーシー。

人間の脳って、通常10%程度しか機能していないそうだ。 それが100%覚醒するとどうなるかって、そんなことどうでもいいって言えばどうでもいいのであるが、まあ、荒唐無稽なことが起こるであろう程度のことは予測される。10%どころか、数%ぐらいし…

グランド・ブダペスト・ホテル。

”ようこそグランド・ブダペスト・ホテルへ”、と惹句にある。”伝説のコンシェルジュがふるまう究極のおもてなしを・・・”、とも。 ”ブダペスト”とあるが、ハンガリーではない。でも、近い。どこかその近くの中央ヨーロッパ(日本では、東ヨーロッパと呼んでい…

アナと雪の女王。

夏前、まだ初夏の頃、遊びにきた孫娘が、「ありの〜ままで〜」と歌い出した。連れてきた娘に、「あの後の歌詞も合ってるのか?」、と訊いた。「合ってる」、と言う。で、「教えたのか?」、と訊いた。「いや、you tubeを見ていたら覚えちゃった」、と…

ジプシー・フラメンコ。

『ジプシー・フラメンコ』、50年前の映画『バルセロナ物語』の主人公・カルメン・アマジャの生誕100周年を記念したもの。 『バルセロナ物語』、観たかどうか思い出せない。1963年の作品であるから、その時代のもの、観ていない確率が高い。 渋谷の…

ラストベガス。

ニューヨーク、ブルックリンで育った4人の悪ガキ、70歳近くになった。それぞれ、格別成功した人生というものではないが、ほどほどの人生を送っている。 そのひとり、モテモテの男であったが、ずっと独身を貫いてきたビリー(扮するのは、マイケル・ダグラ…

シェルブールの雨傘。

50年前の映画、キネマ旬報の劇場でデジタルリマスター版が掛かった。 『シェルブールの雨傘』、1964年の作品である。 この年を挟んだ前後4年ばかり、私は碌に映画を見ていない。 大学3年になった4月、親父が死んだ。一銭の蓄えもない状況であったか…

「あのガキ、横綱になるよ」、と朝青龍が言ったそうだ。

大相撲9月場所、今日が千秋楽。 何やかやあり、三分の一程度しか見ることができなかった。が、彼のおかげで面白かった。朝青龍が、「あのガキ、横綱になるよ」、と言ったという逸ノ城の快進撃で。 初日恒例の協会挨拶。 理事長・北の湖の後ろには、新大関の…

久しぶりの横浜。

久しぶりで横浜へ行った。 古い仲間の連中と、横浜美術館の前で待ち合わせていた。3年ぶりのヨコトリだ。 みなとみらいでなく、桜木町から歩いて行った。久しぶりに日本丸を見ていこう、と思って。 桜木町で降り、ランドマークタワーの方へ歩く。2階の歩道…

マダム・イン・ニューヨーク。

インドの中流家庭の主婦がニューヨークへ行く。 ニューヨークに住む姉の上の娘が結婚することになり、その準備というか手伝いのためなんだが、式のひと月以上も前に行く。ビジネスマンの亭主と子供も二人いるのだが、姑も子供は自分が見ているので行ってこい…

めぐり逢わせのお弁当。

インドは世界一の映画大国であるが、その制作数ばかりでなく、質に於いても世界基準だな、と思われる作品を生み出してきている。 インド映画、すべてがすべて、歌って踊ってのマサラムービーではないんだ。 『めぐり逢わせのお弁当』、監督はリテーシュ・パ…

デリーに行こう!

ボリウッドのロードムービーである。 イヤー面白いのなんの、見知った所があちこち出てきて、久しぶりにインドへ行った気がした。 ムンバイの投資銀行の女社長・ミヒカとデリーの服地屋のオヤジ・マヌが、たまたま行き会う。ムンバイからデリーへ行く飛行機…

アクト・オブ・キリング。

前代未聞の手法、と言っていい。大虐殺を行なった殺人者に、その模様を再現させる。その映像そのものがドキュメンタリーであり、その様を撮ったドキュメンタリーでもある。 1965年であるから、間もなく50年となる。その年の9月30日、インドネシアで…

マンデラ 自由への長い道。

レーニン、スターリン、ヒットラー、チャーチル、ルーズベルト、また、ガンジー、毛沢東、近場ではJFKをあげる人もいよう。その善悪は問わず、20世紀の巨人をあげていくと、このような名が思い浮かぶ。 さらにあと一人、マンデラとなる。 ネルソン・マ…

メイジーの瞳。

ニューヨークに住む6歳の女の子・メイジーは、10日毎にパパの家とママの家を行ったり来たりしている。離婚したパパとママが、共に親権を持っているからなんだ。二人ともメイジーを愛してはいるが、身勝手な両親でもある。 パパは、アートディーラーをして…

LIFE!。

アメリカという国は、デカい国で人の数も多いので、いろんな人がいるんだ。 生身の人間ではなくAIと恋に落ちる男や、酒と女の日常を送るマッチョなテキサンや、おそらくその一生をド田舎で過ごしたであろう男や、酒と女に加えドラッグまみれの日常というウ…

her 世界でひとつの彼女。

今日の舞台は、近未来のロサンゼルス。カミさんから離婚を迫られている男・セオドアの物語。 『her 世界でひとつの彼女』、監督は、スパイク・ジョーンズ。アカデミー賞作品賞ほか5部門でノミネートされた。脚本賞を受賞した。 この春に公開された作品で…

ダラス・バイヤーズクラブ。

今日はダラスである。テキサンの話。テキサス、ある意味、アメリカの典型のひとつ。 1985年、酒と女の日々を送るテキサス男がいた。名をロン・ウッドルーフという。ロデオ・カウボーイである。ある日倒れ、医者からこう言われる。HIVの陽性反応が出て…

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅。

ネブラスカっていう地名に思い入れがある。 ネブラスカ、大きなアメリカの東西からもも南北からも、ほぼ中ほどにある。だから、東のニューヨークからも西のロスやサンフランシスコからも最も離れている。田舎であるに違いない。もちろん行ったことはない。 …

ウルフ・オブ・ウォールストリート。

ブラピであったり、ジョージ・クルーニーであったり、ジョニー・デップであったり、と今を盛りのハリウッドのドル箱スターは何人もいるが、今や、この男を外すわけにはいかない。レオナルド・ディカプリオである。 『タイタニック』のレオ様は、はるかな昔。…

アメリカン・ハッスル。

ハッスル(hustle)って、あの「ハッスルハッスル」のハッスルであるが、「詐欺」っていう意味もあるそうだ。これぞアメリカン・ムービー、ハリウッド映画の極み、と言える極上のエンタテインメント。 この春のアカデミー賞の作品賞は勿論、監督賞、主…

それでも夜は明ける。

あれやこれやとあり、映画のことごとも間遠となったが、これから暫らくの間、映画がらみのことを記す。 アカデミー賞の授賞式、毎年3月初めに行なわれる。今年は第86回目のアカデミー賞であった。今となっては半年遅れでナンであるが、まずその今年のアカ…

夏の記憶2014(3) 空と水。

昨日、今日、代々木公園で発生したデング熱の国内感染で、代々木公園の8割、明治神宮の一部が閉鎖された。 暫らく前ではあるが、代々木公園からずっと東へいった木場公園の北側、MOT(東京都現代美術館)の入口を入ったエントランスロビーの右手上のガラ…

夏の記憶2014(2) ハロー、サンキュー。

時折り遊びに来る孫娘、夕刻には風呂に入ったりシャワーを浴びたりしているが、その後は、素っ裸で部屋の中を走り回っている。孫娘、今、2歳9か月、この秋には3歳となる。まだそのような頃なのであろう。 それはそれでとても愛らしいし、とても美しい。 …

夏の記憶2014(1) 四万六千日。

暦の上では、ひと月近く前にすでに秋となっているのであるが、感覚的には、9月に入り夏は過ぎたな、という思いが強まってくる。 昨年に倣い、この夏の記憶を3題。 7月上旬、山本宣史のグループ展を観に浅草へ行ったら、偶々その日は四万六千日の日であっ…

台北 国立故宮博物院展。

北京の故宮博物院へは何度か行っているが、台北の故宮博物院を訪れたのはただ一度のみ。30年以上、いや、35年ぐらい前であった。胃を切り取ってからゴルフをやめたが、まだゴルフをやっている頃、名門コースである淡水でのツアーへ誘われた。 1日目は淡…