ヨコトリ(2) 釜ヶ崎芸術大学。

今回のアーティスティック・ディレクター・森村泰昌がフィーチャーした第2話は、これ。

<大阪の釜ヶ崎は「忘却の町」である>、と森村は言う。

その釜ヶ崎に芸大がある。

釜ヶ崎芸術大学、カマゲイである。
ウヌッ、中ほどに顔出し看板がある。

ヨコに<ふろ屋のとなり>、タテに<ふぇすてぃばるげーと>、と記されている。ココルームの顔出し看板である。
”ココルーム”とは如何なるものか。<2003年、新世界フェスティバルゲートではじまり・・・・・>、と説明にある。
では、”新世界”って何なんだ。新世界、釜ヶ崎に隣接しているところなんだ。そう、あの通天閣のあるところである。
なお、その顔出し看板で遊んでいるのは、この「流山子雑録 酔睡胡乱」ではお馴染みの二人。それぞれその世界では、よく知られた男であるが、顔出し看板ではまるで幼稚園児のように楽しげだ。

釜ヶ崎、あいりん地区と呼ばれている。
その面積は、0.62平方キロメートル。人口は、29、124人。人口密度は、日本一。平均年齢 73.1歳(西成区) 全国市町村最下位。・・・・・ 野宿 ・・・・・ 炊き出し ・・・・・、という記述。
終りの方に、<いつからでも 学びあい だれでも 無料で ・・・・・>、という記載がある。

このタイトルは、≪釜ヶ崎芸術大学 「それは、わしが飯を食うことより大事か?」≫。
”飯を食うことより大事なことがある”って言っているワケではない、と考える。しかし、そういうニュアンスも。
いいのか、それで。
この左の方には黒板が見える。そこには・・・

演劇、句会、狂言、ヨガ、詩、美術、・・・、と記されている。芸術全般をカバーしているかのよう。
その右端には、<ヨッパライはお帰りください またこんど>、の文字。
この”またこんど”がいいな。いかにも大阪の懐の奥深さ。
カマゲイ、その奥行き、懐の深さに於いて、ニチゲイに負けていないんじゃないか。

<まなびたい人のための大学 釜ヶ崎大学>。
<こんにちわ命が大事>、との言葉も。
森村泰昌が言う「忘却の町」との連関は、よくは解からないが。