高野・熊野・伊勢巡り(24) 那智の滝

青岸渡寺から那智の滝へ行く。概ね、下る。
那智大社、青岸渡寺、そして那智の滝、私は最も楽なコースを選んだ。ほぼ下り、という。

青岸渡寺の三重塔を通し、那智の滝を見る。
孫引きの孫引きをする。
日本のあちこちへ旅している池内紀の著『日本風景論』(平成21年、角川学芸出版刊)に、こういう記述がある。
<ほどのいいへだたりのところに西国札所一番の青岸渡寺があって、眺めがいい。境内から望む滝のたたずまいは「美人の立姿」とさも似ている。・・・・・>、と。
この前に、<佐藤春夫によると那智滝は・・・・・>、という記述があり、<江戸の文人橘南谿の紀行『西遊記』には「美人の羅衣を纏えるが如し」と述べてある>、と。
江戸の文人橘南谿の述する「羅衣を纏った美人の立姿」に佐藤春夫は肯き、その佐藤春夫が記すことに池内紀が首肯し、その池内紀の記述に私もうなずく。孫引きの孫引きを恐れずに記せば。

那智の滝を目指し、歩きはじめる。

三重塔から那智の滝を見る。

銚子口の岩盤が三つに割れ、滝は三筋になって落下している。
「三筋の滝」である。

雨中、ボーと霞む背景は、奥深い熊野原生林。
まさに、隠国・熊野を思わせる。

よく見ると、銚子口の上に張られた注連縄が、うっすらと見える。
那智の滝、それ自体が御神体である。

青岸渡寺から那智の滝まで、1キロ弱。しかも、ほとんど下り坂。説明書には15分程度とあるが、雨の中もあり、私は30分ぐらいかかった。こういう道、とてもきつかった。
途中、逆方向から上ってくる中学生の団体に行き会った。尋ねたら、修学旅行だそうだ。
引率の教師であろう、中年女性の声が聞こえた。
「昔の人はなー、こういう道をずうーと歩いてきたんやでー。これが修業やでー」、という声。修業が足りなく、息絶え絶えの私、その関西なまりの女性教師の言に、「たしかに、これは修業だな」、と肯いた。

こういう道を歩く。
これは、熊野古道じゃないのかな。私も、幾ばくかは熊野古道を歩いたんだな。

大分近づいてきた。
大滝の銚子口の上には、注連縄も見える。

間もなく、飛瀧神社の入口へ出る。
御滝までは、あと473段下る。

那智の御滝・お滝、こういうものである。

暫らくすると、前方に鳥居が見えてくる。ゴーゴーという音もする。
那智の滝、那智の大滝、飛瀧神社の御神体が、目の前に現われる。



ネルソン・マンデラの追悼式が、南ア・ヨハネスブルクで行なわれた。

多くの国の首脳が参集した。オバマ、キャメロン、オランド、パン・ギムン、カルザイ、・・・・・。
圧巻は、やはりアメリカである。オバマの他、ブッシュ、クリントン、カーター、現、前、元、の4人の大統領経験者を送りこんだ。もちろん、ミッシェルもヒラリーも。
日本からは、皇太子に福田康夫が随行。安倍晋三、強行日程となるが、0泊2日で行けなかったか。

オバマ、こうも言っている、
「30年前のマンデラ氏のその闘いが、私の何かをかきたてた」、と。
猪瀬直樹が、初対面の人から、”親切な人だな”と思いながら、無担保、無利子で5000万を借りてどうこう、なんていう話とは、次元が違う。
ネルソン・マンデラ、神に近い存在なのかもしれない。