レザン展。

霊場巡りが長く続いたので、友人たちの展覧会をアップするのが遅くなった。
先ずは、ひと月少し前のレザン展での後藤亮子の作品から。
会場は例年通り、新宿ヒルトン地下のヒルトピア・アートスクェア。昔の仲間と観に行った。
後藤亮子、F4からF10まで5点を出品している。タイトルは、いずれも「遊」。

左から、≪遊Ⅴ≫、≪遊Ⅲ≫、≪遊Ⅰ≫、≪遊Ⅱ≫、≪遊Ⅳ≫。

≪遊Ⅰ≫。
後藤亮子の作品、年に2〜3度観ている。
この赤いような、青いような、紫っぽいような色が奏でるハーモニー、後藤亮子の作品に通底するもの。

≪遊Ⅱ≫。
その後、後藤亮子からきたメールには、こう記されていた。
<軽い面白い絵をと思ってかいたのですが、ちょっと(?たくさん)力が足りなかった。猛暑のせいにします>、と。
猛暑って、そう、これを後藤が描いていたのは夏の頃なんだ。
そんなことより・・・
この作品など、”軽み”がよく現われている、よ。

≪遊Ⅲ≫。
後藤亮子が好きだと言う、マティスの色か。

≪遊Ⅴ≫。
後藤のメールには、こうもある。
<まだまだ思った絵がかけませんが、もう少しお付き合いください>、と。
50年にも及ぶつき合いだ。あと5年や10年つき合わせてもらうよ。まあ、お互い生きてれば、ね。

≪遊Ⅳ≫部分。
後藤亮子の作品、年々後藤が思うという”軽さ”、”軽み”の度合いを増している。
この作品を観ても。

毎年そうであるが、レザン展が開かれている会場の隣りの部屋では、田畑弘展が催されている。
田畑弘、レザン展の主催者である。つまり、後藤亮子の先生。
このような作品が並ぶ。
何らかの版画に手彩色を加えたのではないかな、と思える作品である。
田畑弘、クリスチャンであるそうだ。出展作のテーマは、旧約聖書の雅歌、コヘレト、哀歌等である。

お読みいただけるであろうか。
雅歌から、<あの人が左の腕をわたしの頭の下に伸べ 右の腕でわたしを抱いてくださればよいのに>、と記されている。
ルオーの銅版画≪ミセレーレ≫と同じく、深い精神性を感じる。
”深い精神性”と記した後で、どうかとは思うが、私たち7〜8人の昔の仲間は、この後、新宿西口の居酒屋へと歩を進めた。


今日、今上天皇、傘寿を迎えられた。
これまでで最も印象に残っていることに、「先の戦争」と述べられている。
NHKのニュースには、サイパンのバンザイクリフで頭を垂れられている映像も流された。
おそらく、今上天皇、先の戦争・太平洋戦争に言及される最後の天皇であろう。