京都 洛中洛外図と障壁画の美展。

東博でのこの秋の特別展。東博、「京都でも見ることのできない京都」、と謳う。

最近の東博、やや大袈裟にすぎる惹句が目につく。しかし、今回の惹句はそうではない。確かに、そう。

まず、室町期から江戸期にかけて描かれた「洛中洛外図屏風」。現在、国宝、重文に指定されているものは、「上杉本」、「舟木本」はじめ7件ある。その7件すべてを展示した。
山形・米沢市上杉博物館の「上杉本」、千葉・国立歴史民俗博物館の「歴博甲本」と「歴博乙本」、福岡市博物館の「福岡市博本」、富山・勝興寺の「勝興寺本」、岡山・林原美術館の「池田本」、それに、東博が持つ「舟木本」の7件。
何と、国宝と重文の「洛中洛外図」は、みな京都以外のところにある。
「京都でも・・・・・」ではなく、「京都では・・・・・」と言う方が、より正確かもしれない。
中でも目を引くのは、これ。

東博所蔵の「舟木本」。
浮世絵の創始者ともいわれる岩佐又兵衛が描いた「洛中洛外図」。
京都の街並み、京都の人々の様が緻密に描かれている。

さらに、二条城二の丸御殿 黒書院一の間、ニの間の再現展示もある。

明治期の廃仏毀釈の時代、多くの文化財が散逸した。海外へ渡ったものも多い。
龍安寺方丈の襖絵も、メトロポリタン美術館へ渡った。今回、それが里帰りした。
襖絵、≪列子図≫。

東博と凸版印刷が手を組んだミュージアムシアター、「バーチャルリアリティーで時空を超える」がコンセプト。東博の名品を凸版印刷のVR技術で加視化している。
昨年まではタダであったが、今年、東洋館の地下へ移ってからは料金を取るようになった。料金500円、その価値は十分ある。

岩佐又兵衛である。

東博所蔵の岩佐又兵衛の手になる「洛中洛外図」を、凸版の技術で細部まで、というもの。

岩佐又兵衛の「洛中洛外図」・「舟木本」を、現在のテクノロジーで迫る。

高精密画像で。

何と、岩佐又兵衛の描いた絵の100倍の精密画像が引きだされるそうだ。

こういう過程を経て、

東博と凸版印刷のコラボ、完成となる。
岩佐又兵衛の描いた江戸時代、17世紀の京都の人々の顔つきの様、興味深いものであった。