エクソダス 神と王。

今から3300年前、紀元前1300年ごろの古代エジプト。ひとりの男が40万人のヘブライ人を救う。旧約聖書の「出エジプト記」、モーゼの物語。

”戦う者だけに、「奇跡」は訪れる。”、とある。
モーゼ、栄華を誇る巨大な王国、古代エジプトで王家の養子として育てられた。が、ある時、自らがエジプト人に虐げられているヘブライ人だと知る。
で、”戦う者だけに、・・・・・”、となる。

『エクソダス 神と王』、監督は、巨大作得意のリドリー・スコット。最新のテクノロジーを駆使し、金もバンバン投入し、大スペクタクル映像を創りあげた。
なお、この作品の予算は、1億4000万ドル(170億円)。はからずも、昨日記したニューヨークのクリスティーズで落札されたジャコメッティのブロンズ像とほぼ同額。
余計なことであるが、ジャコメッティのブロンズ1体と巨大スペクタクル映画、どちらがコスト・パフォーマンスが高いのか。

上で両手を広げているのは、エジプト第19王朝のファラオ・セティ王。
その下、右側の黒っぽい甲冑姿の男はモーゼ。左の白っぽい甲冑姿の男はセティ王の息子・ラムセス。
ヘブライ人であることからナイルに流されたモーゼ、ラムセスの叔母に拾われ王家で育てられる。ラムセスと二人、兄弟のように。しかし、長じて自らがヘブライ人であることを知り、ラムセスにヘブライ人の解放を進言する。
が、聞き入れられない。
で、モーゼ、40万のヘブライ人を解放するため強大なエジプト王国に立ち向かう。

苦境のモーゼに「10の奇跡」が起きる。
ナイル川が血に染まったり、

空から巨大な雹が襲ってきたり、と。

左は、クリスチャン・ベール扮するモーゼ。右は、ジョエル・エドガートン扮するラムセス。
英雄・モーゼが信じた「奇跡」とは。

ヘブライ人、ユダヤの民である。
モーゼも、モーゼが率いる40万人も、すべてユダヤの民。
モーゼが率いる40万のヘブライ人・ユダヤの民、エジプトを脱出、約束の地を目指す。
しかし、前方には海がある。後方にはラムセス率いるエジプトの軍勢が迫る。
絶体絶命。
しかし、モーゼは、「奇跡」を信じていた。
紅海が割れた。
ヘブライ・ユダヤの民は、約束の地へ到達した。追ってきたエジプトの軍勢は、引いた後押しよせた波に飲みこまれた。
3300年前の物語である。しかし、その後もヘブライ・ユダヤの民の苦悩は続く。世界各地へちりじりとなった。以降、ヘブライ・ユダヤの民はディアスポラとなる。3000年以上に亘って。ヘブライ・ユダヤの民が自らの国を持ったのは、1948年、わずか67年前。
ところで、この作品の製作費の約170億円、ほぼ同額のクリスティーズで落札されたジャコメッティのブロンズと、どちらがコスト・パフォーマンスが高いか、という先般チラリと頭をかすめた問、私は、ジャコメッティのブロンズに手を挙げる。
ジャコメッティが好きだということもあるが、大冒険大スペクタクルという作品との折り合いが今ひとつ、ということもその理由。


今日昼間、バスに乗っていた時、車椅子に乗った若い女の人がいた。電車では車椅子の人をよく見かける。乗り降りには駅員が手際よく対応している。しかし、バスの中での車椅子の人は初めて。
その人が降りる時、「ご迷惑をおかけしました」、と言った。まだ降りる前。バスの運転手が降りてきて、乗降口の下から渡しの板を引きだした。バスには7、8人の人が乗っていた。皆さん興味深げに見ていた。皆さん、私同様バスの中での車椅子は見たことがない模様。
その車椅子に乗った若い女性、バスの運転手に助けられ降りる前に、再び「ご迷惑をおかけしました」、と大きな声で言った。
私は、「いーえ」、と大きな声で返した。バスの運行時間、幾らかは遅れる。でも。そんなことどうってことない。「いーえ」と言ったのは私ひとりだけであった。7、8人の人が乗っていたのだが、皆さんあっけにとられていたのかもしれない。
そのことがあったからかどうか、何故かはしらず、今日は気分がよかった。