味園ユニバース。

新宿歌舞伎町を舞台とした昨日の『さよなら歌舞伎町』も面白く素晴らしい作品であるが、大阪ミナミ千日前を舞台としたこの作品も面白い。

『味園ユニバース』、監督:山下敦弘、脚本:菅野友恵。
主演は、関ジャニ∞の渋谷すばると二階堂ふみ。
”関ジャニ∞の渋谷すばると二階堂ふみ”、と何でもなく書いたが、実は”関ジャニ∞”、知らない。
”関ジャニ”の後ろ、何て読むのかも知らない。昔習った無限大という記号に似ているが、”関ジャニ無限大”なんてどこかヘンだな、と思っていた。この映画を観て、”8”が横になっているだけで”関ジャニエイト”と読むんだ、ということを知った。
二階堂ふみは知っていたが、渋谷すばるも知らなかった。が、関西、大阪と言わず、全国区の凄い役者になるに違いない。素晴らしい逸材である。

『味園ユニバース』、何から何まで大阪テイストの作品である。
タイトルの”味園ユニバース”は、数年前に閉鎖されたが、大阪ミナミの千日前にあった日本有数のキャバレーの名。
監督の山下敦弘は、大阪芸大で学んだ男。主演の渋谷すばるも大阪出身(二階堂ふみは、沖縄出身であるが、大阪に溶けこんでいる)。

2014年、つまり昨年、「赤犬」のライブが大阪の公園で催される。
私は、「赤犬」も知らなかった。この映画で初めて知った。
「赤犬」、1993年、大阪芸大の学生を中心に結成されたバンドだそうだ。20年を超すキャリアを持つ。知らなかった。地ビールならぬ、大阪の地バンドなんだ。

その赤犬のライブ会場へ若い男が乱入し、マイクを取りいきなり歌う。
「あの頃は〜」って、和田アキ子のあの歌「古い日記」を。が、突然倒れる。記憶を失くしている。

「赤犬」のマネージャーでもある二階堂ふみ扮するカスミ、その男を家へ連れてくる。カスミ、その記憶を失くした男に「ポチ男」という名前をつける。
大阪らしいさまざまな人が登場する。

右の女は、カスミの相談相手でもあるどこかワケありの酒好きの医者。大阪出身の鈴木紗理奈の演技、味がある。

ポチ男の記憶がポツポツ戻る。
刑務所に入っていたこと。記憶をなくしたのも、出所後元のヤクザ仲間にボコボコにされたからであることも。元の兄貴分に話をつけに行く。また、ボコボコにされるんだ。

記憶喪失の身を引きとってくれて、スイカを食ってはタネを飛ばしっこしていた頃もある。

面白い。とても趣き深い映画である。
渋谷すばるも遠からず、全国区の役者になるであろう。