さよなら歌舞伎町。

新宿歌舞伎町のラブホテルが舞台のお話である。主人公は、あの大震災で大きな被害にあった塩釜出身の若者・高橋徹。歌舞伎町のラブホテルの雇われ店長だ。幾つもの人生が交錯する。

今年初め、まだ寒い頃のテアトル新宿の入口。
歌舞伎町は、この左斜め後ろにあたる。

歌舞伎町のラブホテルの雇われ店長の徹、プロのミュージシャンを目指す沙耶と同棲しているが、ややダルくなってきている。ラブホテルの雇われ店長、楽ではない。苛立つことが多いんだ。

『さよなら歌舞伎町』、監督:廣木隆一、脚本:荒井晴彦+中野太。

主演の2人、徹と沙耶には、染谷将太と前田敦子。
であるが、さまざまなワケありのカップルだとか、ワケありの事情で歌舞伎町のラブホテルに来る人たちがいる。南果歩やイ・ウンウ、大森南朋、田口トモロヲなどが扮する。
さまざまな人生模様、概ね不器用。

ラブホテルの清掃員をしているオバさんは、逃げている。指名手配中の男とアパートで暮らす。時効成立まであと1日となっている。
不倫中のエリート刑事カップルが来る。その女刑事、掃除のオバさんの顔に反応する。指名手配されている顔である、と。
韓国でのブティックやレストランの開店資金を稼ぐために、日本へ来ている韓国人カップルもいる。女は男に黙り、デリヘル嬢で荒稼ぎをしている。それを知った男とのやりとり、哀しく、思い入れが深くなる。その背後には、新大久保でのバカな連中のヘイトスピーチもある。
CDデビューを、というプロデューサーとの枕営業で、そのラブホテルへ来る店長・徹の同棲相手・沙耶と徹の鉢合わせもある。
ワンフロアを借りきってAV作品を撮っていたクルーに、出前のピザを届けに行った店長の徹、その中にAV女優としての妹を見つける。故郷・塩釜にいるはずの妹を。
風俗のスカウトと家出少女との悲しい物語もある。

歌舞伎町のラブホテルで、幾つもの話が紡がれていく。一日の間に。
グランド・ホテル形式の物語である。歌舞伎町のラブホテルだから、グランド・(ラブ)ホテル形式というのがふさわしいか。
終幕近く、塩釜へ行くバスに歌舞伎町のラブホテルの店長の徹が乗っている。彼は気づいてはいないが、AV女優をしていた妹も同じバスに乗っている。
彼ら、故郷の塩釜へ帰る模様。
「さよなら歌舞伎町」、彼らにとっては、そうであるのか。


FIFAの汚職事件、日本円にすれば100億円の単位。
現役の副会長や元副会長が逮捕されている。しかし、ブラッター会長は、昨日のチューリッヒのFIFA総会で5選された。自らの関与はどうあれ、腹心が逮捕されている結果責任がある。監督責任はどうなる。
日本協会の大仁邦弥会長は、ブラッターへ入れた模様。アジア連盟の申し合わせがある、ということで。しかし、アジア連盟に加入のオーストラリアは、反ブラッターを表明した。日本協会会長の大仁邦弥は、その態度を明らかにしない。
汚い、と思う。それ以上に情けない。
大仁邦弥、八百長疑惑のアギーレ監督問題の時にも、「まだ起訴されていない」と言って問題を先送りした。
昨年のブラジルでのW杯の時には、ホテルの部屋に置かれていた2万5千スイスフラン(約330万円)の高級時計を、こともなげにポケットに入れたそうだ。
その後、FIFAからいついつまでに申し出れば不問に付す、とのことで申し出たとのこと。FIFAの金権体質、日本協会へも伝染している。
W杯への思い、薄れていくな。