グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札。

1956年、ハリウッド女優・グレース・ケリー、モナコのレーニエ3世と結婚、モナコ公妃となった。
これは、その6年後の物語。

洋の東西を問わず、一般家庭の女性が王室に嫁すと、その日常、それは大変だ。
モナコ大公の嫁となったグレース・ケリーも、気が滅入ることが多い。

監督は、『エディット・ピアフ 愛の讃歌』のオリヴィエ・ダアン。モナコ公妃となったグレース・ケリーに扮するのは、ニコール・キッドマン。ニコール・キッドマン、その面立ち、グレース・ケリーに似ていないのが気になるが。

モナコ、世界で2番目に小さな国である。ニースから電車で30分足らず。独立国ではあるが、フランスのひとつの田舎町、と言ってもいい。
崖の上の町である。下を見れば入江には数限りないヨットが泊まっている。
町の中心部に世界に冠たるカジノ、グラン・カジノがある。7年前のグラン・カジノでは、中国人がハデに札びらを切っていた。深いスリットの入った優美なチャイナドレスを着た老婦人も含め。

モナコ、周りを大国フランスに囲まれている。アルジェリア戦争に手を焼いていたフランスから、圧力を受ける。国存亡の危機である。
大公妃であるグレース・ケリーの悩みも深い。

王室内での相談者であるタッカー神父によると、フランスに内通している者がいるようだ。その内通者は、何と夫であるレーニエ大公の姉。
洋の東西、時代を問わず、このようなことしばしばあるな。

モナコ公妃、グレース・オブ・モナコであるグレース・ケリー、大芝居の切り札を切る。
登場人物は、フランスの巨人・シャルル・ド・ゴール、ギリシャのというより20世紀最大の海運王・アリストテレス・ソクラテス・オナシス、そのオナシスの愛人である世紀のプリマ・マリア・カラス、グレース・ケリーにハリウッド復帰を持ちかけるヒッチコック、その他魅力あふれる連中。
史実であるのか、フィクションであるのかは知らない。しかし、ありそうな話ではある。いずれにしろこのような物語は面白い。
モナコ公妃・グレース・ケリー、1982年自動車事故で死んだ。亨年52。