パンムンジョム劇場。

今日は一日、芝居を見ているようなものであった。面白かった。
まず舞台設定がいい。場所は板門店である。これがいい。劇場効果を高める。
朝鮮半島の南北首脳会談3度目であるが、前の2回は金大中にしろ盧武鉉にしろ韓国の大統領が平壌へ行き、金正日と会っていた。
10年半ぶりの今日の南北首脳会談、金正日の後を継いだ息子の金正恩が板門店の軍事境界線を越え韓国側へ歩を進めた。
世界中、否が応でも盛り上がる。

手前の建物の中央の細い線、これが軍事境界線である。
朝鮮半島南北を隔てる軍事境界線で、南北の首脳がまみえるのは9時半となっている。
前方に見える建物は、北朝鮮の板門閣。
今、9時26分。北朝鮮側に人の動きはない。

9時28分、板門閣から20数人が出てきた。

オッ、金正恩(キム・ジョンウン)だ。
他の人は横へ行き、金正恩ひとりが軍事境界線へ向かって歩いていく。
他の人たちはスーツであるのに対し、金正恩のみは人民服である。このこと、習近平にも通じる。
習近平の人民服、市場主義経済とどう折り合いをつけるのか。いずれ破綻がくるよ、と私は思っているが。金正恩もその後追いをするのか。
それはそれとし、30代半ばになったかならずかという若い金正恩、胆の据わった男であるようだ。

軍事境界線を挟み握手。

韓国側に入った金正恩、
ここでサプライズがある。
この後、ムン・ジェインがキム・ジョンウンに、「私はいつ北へ行けるのでしょうか」と言ったそうだ。と、キム・ジョンウン、「今、行きましょうか」と言い、ムン・ジェインの手を手を掴みながら北側へ軍事境界線を越える。北朝鮮側へ。キム・ジョンウンの瞬時の反応、ニクイ。

で、今一度、幅50センチほどの軍事境界線のコンクリを超え韓国側へ。

子供たちから花を贈られる。
非武装地帯の村に住む子供たちだそうだ。

いつの時代だろう。
歓迎の派手な衣装の儀杖隊に囲まれ進む。

儀仗隊の中を歩むムン・ジェインとキム・ジョンウン。

10時10分すぎから南北首脳会談。
双方3人が出ている。首脳の他はどうも情報部門のトップのようだ。北朝鮮の3人の中には、キム・ジョンウンの妹のキム・ヨジョンも。
中継はここまで。

昼のニュースでこう流れた。
ピョンヤンの冷麺、本当に美味いそうだ。

昼食を取るためキム・ジョンウン、北側へ戻る。
ベンツのストレッチリムジンであった。

4時半、松の木を植樹する。
キム・ジョンウンの左のキム・ヨジョン、グレーのスーツ。ミニスカートである。男たちの中で、ひときわ目立つ。

両首脳が話す。30分ばかり。
光琳の≪八ツ橋図屏風≫を思う。青い橋ではあるが。

6時前、「板門店宣言」に両首脳署名する。

が、具体的なロードマップは記されてはいない。
共同目標であり、努力する、とのこと。今ひとつではある。
が、アメリカのトランプ初め中露の首脳の反応もまあまあである。

キム・ジョンウン、こう語る。

当初の予定になかったキム・ジョンウンのカミさんを、サプライズとして急遽呼び寄せる。
晩餐会は6時半から。キム・ジョンウンのカミさん、それに合わせて板門店に到着する。
優秀なディレクターがいるのであろう。
パンムンジョム劇場である。見応えがあった。
40年ほど前、板門店へ行ったことがある。
板門店、ハンモンテンであった。
今は、パンムンジョムとなった。
時は流れた。