「住み果つる慣らひ」考(14)。

養老孟司と隈研吾が対談している。『日本人はどう死ぬべきか?』(日経BP社 2014年刊)。
<あの二人の放浪老人ぶりはいいですねえ>、と隈研吾。
<日本人は元来ああだったんだと思いますよ>、と養老孟司。
あの二人って、お察しの通り芭蕉と西行。ピン ポーン。
養老孟司と隈研吾、「年を取った男はさすらうべきだ」、と語る。まさに、そう。
が、ここでチラッと頭をよぎるものがある。「年を取った男はさすらうべきだ」はいいのだが、じゃあ「年を取った女」はどうなんだってこと。
日本を代表する碩学お二人であるが、性差やジェンダーの問題はどう考えているのかってことに。まあ、私ごときがどうこう言うことではないが。
進む。
<隈 養老先生は、死ぬのだったらこの病気で、というのはありますか>。
<養老 考えたことがないですね>。
<隈 解剖をずっと手掛けていらして、こういう死に方は嫌だな、と思ったことはありましたか>。
<養老 そういうのはないですね>。
解剖学者・養老孟司、とてもクール。
「Body(ボディ)」イコール「死体」という話になる。
<養老 ・・・・・。なぜ分かるかというと、「体」の語源は「空」だから。辞書にそう載っています>。
<隈 そうなんですか>。
<養老 空だから「カラダ」なんですよ。それを「身体」と書くようにしたのは江戸時代から。つまり「空」のものに身が付いちゃった。さらに引っ繰り返ったのが「心身」という言葉です。道元の時代には「身心」って、「身」が先に来たのですが、・・・・・>。
終わりの方で東大教授・廣瀬通孝の通称「鉄の家」で、記者も加わり話す。
<− 隈さんは常々、死に方はル・コルビュジェにあやかりたいとおっしゃっていましたね>。
<隈 77歳の時に海で泳いでいて、溺れ死に。僕も泳ぐことが好きだから、そいいう死に際がいいな、・・・・・>。
<− 養老先生には理想の死に方はありますか>。
<養老 死に方を考えるほど、くだらないことはない、と、それはもう考えないことにしていますから。だって、考えているうちは生きている。だいたい結論は簡単ですよ。俺が死んでも俺は困らねえ、と>。
「日本人はどう死ぬべきか?」って話はあったのかな、どうだったのかなって思いがあるが、そんなことはどうでもよろし。
それぞれの場で日本を代表するお二方のお話、勉強させていただきました。
2020年のオリンピックの主競技場の建設も進んでいるんだろうな。隈研吾、頼むよ。
今日、あとひとつ記そうと思っていたが、眠くなった。
明日にする。


衣笠祥雄が死んだ。
鉄人・衣笠だ。
日常、野球はほとんど見ない。特に贔屓のチームもない。しいて言えばラミレスのDeNAに興味があるかなってくらい。その程度であるから日常の試合中継などは見ていない。
が、野球選手で思いに残る選手が何人かいる。
王、張本、衣笠、江夏、野茂、新庄、松井、そして今の大谷であろうか。私の思いに残る野球選手は。
鉄人・衣笠、享年71。まだ若い。残念だ。よくは知らないが、人間としても素晴らしい人ではなかったか。