パリ+リスボン街歩き  (24) クリュニー美術館(続き)。

クリュニーの主役は、2階にある。

この階段を上ったところに特別な部屋がある。
やや湾曲した壁面を持つ。タペスリーが6点掛けられている。湾曲した方には5点、それと向かい合う壁面に1点。

やや湾曲した壁面に掛けられたタピスリー5点。部屋の照明は落され暗い。写りもよくない。
これらのタペスリー、1500年頃のもの。
クリュニーに入る時にもらったリーフレットには、こうある。
<これらのタペスリー、ボウサック城で発見され1882年、クリュニーへ入れられた。”千の花”スタイルのタピスリーとしては、最も美しいもののひとつである>、と記されている。なお、”千の花”とは、赤く見える背景に描かれた花々のことのようだ。
それにしても、写りがよくないのは残念。

4点しか写っていないが、こちらの方がまだいいか。
「La Dame a la Licorne」、「貴婦人と一角獣」だ。
左から、貴婦人がお菓子をつまんでいる”味覚”、オルガンを弾いている”聴覚”、一角獣を見ている”視覚”、侍女が持つお盆にも、また籠の中にも匂い立つ花がある”嗅覚”。ここにはないが、前の写真の右端に見える、貴婦人が右手で紋章の旗を、左手でユニコーンの角を握っている”触覚”。この”五感”が表わされている。

これは何とか拡大できるかな。”視覚”である。
貴婦人が一角獣を見ている。その一角獣は、貴婦人の膝に前足を乗せ、貴婦人が右手で持つ鏡に映る己が姿を見ている。
どのような寓意があるのであろうか。さまざまな解釈、為されてはいるが。

やや湾曲した壁面に掛けられた5点のタピスリーの正面に掛けられた、6点目のタピスリーは、これである。
この写真では緑っぽく見えるが、実際には青っぽい天幕の下にいる貴婦人、ネックレスなどの装飾品を外し、侍女が持つ箱の中に投げ入れている。天幕には、”A mon seul Desir(私の唯一の欲求に)”、という言葉が書かれている。一角獣や獅子、その他、犬や鳥や兎や諸々の動物たちもキョトンとしている。
クリュニーのリーフレットには、この第6番目の感覚は、”愛と理解”を表すと記されている。”私の唯一の欲求”とは、”愛と理解”ということか。どういうことか。よく解からない。
まあ、私の頭ではよくは解からないが、500年前のタペスリー、不思議な美しさであることは、確か。