『昭和天皇独白録』。

晴れ。
目についた半藤一利編『昭和史が面白い』を拾い読む。
10年ぐらい前に求めた書。このころは、本は四六時中買っていたが、その多くはいわゆる積ン読となっていた時期。これも、軽いものなので、パラパラと斜め読みぐらいはしただろうが、よく憶えておらず。
半藤一利お得意の昭和史ものだが、これは探究書というよりは、サイドストーリーといったもの。それぞれの話題に関係あるゲスト2人と半藤との鼎談がならぶ。
中に、阿川弘之と大井篤(旧海軍軍人。終戦時には連合艦隊参謀。”海軍三賢人”のひとりと言われた、と解説にある)を迎えた鼎談「『昭和天皇独白録』の空白部分」がある。
『昭和天皇独白録』は、もうずいぶん昔、15〜6年前に読んだ記憶がある。開戦時、ワシントンの日本大使館で日米折衝に当たっていた外交官であり、戦後は、宮内省で昭和天皇の御用掛という要職についていた寺崎英成が、やはり昭和天皇の側近である宮内官僚4人と共に、昭和天皇から聞き書きしたもの。この書、どこかにあるんだが、と思い棚を探すが出てこない。やはり、一度オレの部屋を整理しないといけないな、と思う。
それはさておき、この『昭和天皇独白録』は、たいへん面白い書であった憶えは鮮明にある。昭和天皇がとても正直に語っておられる。日中戦争への過程やら開戦時のこと、東條英機への信頼感と違った面もあったなという思い、高松宮との確執、終戦時の思い、等々非常に思いのまま、赤裸々といってもいいくらいに語られていた、という憶えがある。
正直に言えば、所どころ、天皇御自身のエクスキューズもあるな、という憶えもある。しかし、明治34年(1901年)生まれの昭和天皇、大正10年、20歳の若さで摂政につかれ、日中戦争に踏み込んでいく時でもまだ30代、日米開戦時でも40歳、終戦時でも44歳、一般世間の我々衆生の世界から見れば、激動の重大局面を一身に背負われていくには致し方ない面も多々あったことお解りします、という憶えもある。
それと共に、この聞き書き、何故なされたのか、という憶えもある。GHQへの提出のためか、あるいは、GHQからの要請があったのか、という憶えもある。
さまざま、思いだすことはあるのだが、記憶が不確かで「憶え」としか言えない。正直な人間性あふれる、という憶えがあるこの書、見つからなければまた求めて、読み直してみよう。