散り椿。
木村大作、「オレの撮りたいように、オレのアングルで、オレのカメラワークで美しい時代劇を創りたい」、と思っていたことだろう。
黒澤明から絶大な信頼を得ていたカメラマンである。多くの監督と組んできた。オレならば、ということで創った作品である。オレの時代劇。
岡田准一という殺陣の上手い役者が出てきた。
岡田准一をメーンに西島秀俊、黒木華、麻生久美子、そして得もいえぬ若手・池松壮亮の役者陣。さらに石橋蓮司、富司純子、奥田瑛二といった魅力いっぱいの配役。
『散り椿』、原作:葉室麟、脚本:小泉堯史、監督・撮影:木村大作。
享保15年(1730)の冬、瓜生新兵衛(扮するのは岡田准一)は京から扇野藩への道を進む。
雪が降っている。
突然、3人の刺客に襲われるが、新兵衛、切って捨てる。
木村大作、この場面を撮りたかったのであろう。雪が降りしきる中での殺陣、岡田准一、見事。
新兵衛と女房の篠。
命の残り少ない篠の言葉で、新兵衛は扇野藩へ戻る。
榊原采女を訪ねる。
共に扇野藩四天王と言われた剣使い。
この間合い・・・
この間合い。
木村大作の狙い。
新兵衛と采女。
采女の母親である榊原滋野、「そなたを夫の仇と思っております」、と新兵衛に迫る。富司純子だ。
雪の中。
竹林。
・・・・・。
岡田准一、殺陣は上手い、目鼻立ちも二枚目として主役を張るのに文句はない。
が、惜しむらくはたっぱが低い。170に満たない。あと10センチ、せめて5センチあればと思う。
それはそれとし、『散り椿』の結末だ。
瓜生新兵衛と榊原采女、扇野藩の悪の権化、城代家老・石田玄蕃一派がこもる神社へ討ち入る。
石田玄蕃に扮するのは「悪なら任せろ」という奥田瑛二。憎たらしい。
采女は矢で打ち取られるが、新兵衛は玄蕃の手勢をバッタバッタと切り裂いていく。そして、最後に玄蕃を一刀のもとに切り捨てる。
カタルシス全開。