ミイラ。

ミイラってやはり不思議なものである。
国立科学博物館で催されている特別展「ミイラ」、「永遠の命」を求めてとサブタイトルを打っているが、やはり何とも面白い。「ミイラ」なるもの、すべてがすべて「永遠の命を求めて」いるのではなかろうが。
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冬枯れの上野公園にこの看板。
世界から43体が来ているらしい。
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科博、展示会場までずいぶん歩かせるな。
困ったことだがそれはまあ仕方ないとして、今回初めて知ったが、科博には10数体のミイラがあるそうだ。科博へは数年に一度しか行かないので知らなかった。時折り行く東博にはミイラは1体のみしかない。日本国内で見たミイラはこれのみだと思う。大阪の民博にもミイラの記憶はない。民博、やや目指す方向が異なるので当然か。
海外の博物館では幾つか見ているが、そうべらぼうにあるということではない。
ところで、ミイラといえばまず頭に浮かぶのはエジプトだ。誰しもがそうであろう。
20年以上前、1996年にカイロからルクソール、アスワン、さらにアブ・シンベルまでナイル川を遡った。カイロ博物館(エジプト考古学博物館)には、ツタンカーメンの黄金の棺やマスクはじめ多くのミイラがらみの品が多くあった。テーベの王家の谷にはさまざまなファラオの墓があった。が、棺などは見られたがミイラそのものがどうであったか、という明確な記憶はない。
最も充実したミイラの展示はロンドンの大英博物館である。私の知る限り、ミイラに関しては世界のどの博物館も大英博物館にかなわない。最後に行った12年前の大英博物館ミイラ室の模様はこうであった。
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少し暗いが、大英博物館には多くのミイラが並ぶ。
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ミイラそのものは水平に置かれているが、その棺は垂直に立てられているものも多い。
このように。
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今回のミイラ展、何よりも、エジプト以外のミイラに驚いた。
南北アメリカ、アンデスのミイラから始まる。
ミイラ包みなんて初めて見た。多くあった。
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よく見知ったエジプトだ。
動物のミイラ、出展されていたネコばかりじゃなく、今までにさまざまな動物、また鳥のミイラも見たような気がする。動物や鳥類、神に繋がるんだ。で、ミイラに。
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科博らしい眼。
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ヨーロッパにもミイラはある。
「ウェーリンゲメン」、遥か昔に亡くなった人の姿がそのまま残っている。
今までのミイラのイメージとはかけ離れたものであるが。
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以前、ニューギニアなどの古い彫像などを求めていたことがある。あちこちの古いものとともに。
木を加工したそれらのもの、考えてみるとその彫像の中に何らかの思い、願いが込められているように感じる。オセアニアのそれらの精霊像、ミイラに繋がるんじゃないか、と思われる。
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日本。
シャドーとなっているが、この本草学者のミイラは凄い。学問としてミイラを追及した学者のミイラである。
右の即身仏も、興味深いミイラである。艶やかな赤い法衣を身に纏っている。「永遠の命」というより、多くの衆生を救うため即身成仏、入定されたのである。
で、今、ミイラとなっている。
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43体のミイラ、面白かった。
しかし、最後の部屋まで座るイスがないことには参った。
来ている人、年寄りは少なかったような気がする。しかし、年寄りがまったくいないワケではない。時おり座りたい年寄りへの配慮、考えてもらいたい。
音声ガイドは大沢たかおであった。大沢たかお、旅行番組によく起用されている。が、声だけのガイドとなるとあまり良くなかった。
会期はまだひと月残している。面白いですよ。どうぞ。


それより、主な展示が終わった後、国立科学博物館所蔵のミイラが5点展示されていた。
その中に南米ヒバロ族の干し首があった。3点の干し首が。
干し首というものは、頭の中を取り出し、目や口を縫い合わせ、干したものである。小さいものは天地6~7センチと思われ、大きなものでも天地8~9センチ程度である。頭部、顔面のミイラである。
私は初めて見た。
丁度10年前になるが、2010年1月のこのブログ・「流山子雑録」に「東京大学総合研究博物館」のことを記したことがある。東大が所蔵する「文身(刺青)標本」のことを記した。57点に及ぶ総身彫りの文身(刺青)のことを。
科博が所蔵する3点の干し首、東大所蔵の57点の文身(刺青)標本とともに、日本が持つ科学標本の双璧ではないか。生物分野の。


今年のダボス会議が開かれた。
2年ぶりでトランプが行って、「オレはこうこう」なんて勝手なことを言っている。
今年のダボス会議、地球温暖化対策、環境問題が焦点である。
パリ協定から抜け出したトランプなど、ダボス会議から締め出してしまうことなどできないのかな。