初場所三景。

白鵬と鶴竜が早々に休場し、カド番・豪栄道も不甲斐なく、高安の大関復帰も難しく、横綱大関で何とかなっているのは貴景勝のみ。平幕へ落ちた御嶽海に期待を寄せていたら、これも何とも具合が悪い。つまらない、面白くない場所だなと思っていた。
が、最終盤の3日間、いやいやこれはこれで、という展開となった。
まさかまさかの徳勝龍の幕尻優勝。上位陣のすべてとあたり勝ちこした炎鵬の活躍。そして令和初の天覧相撲。
令和2年初場所の三景である。
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まずはこの男、十両と幕内を行ったり来たりしていた徳勝龍のこの顔だ。
帰り入幕の場所であった。優勝を決めた瞬間、その顔がクシャッと崩れた。よかった。
まずはこの顔のみを出しておいて、優勝力士故、後ほどに。
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今場所の三賞は、この5人。
優勝した徳勝龍は、殊勲賞と敢闘賞も。当然だ。
この三賞を知った解説の北の富士は、「アレッ、炎鵬にも技能賞をやらないの?」と言う。「炎鵬は、今日勝てばなんでしたが」とアナ。炎鵬、今日は輝に圧倒されて敗れた。「炎鵬の貢献は大きいよ」と北の富士。確かにそうである。ビジネスの事業体としての日本相撲協会に対する炎鵬の貢献度は非常に高い。
醜男あんこ型の力士が贔屓の私、それとは対極の小兵すべすべ顔の力士はイマイチ贔屓にはなれない。が、今場所の炎鵬の相撲、なぜあれほど国技館の館内を沸かせるのかは理解できる。
この一番には興奮した。
13日目、炎鵬と阿炎の一番である。
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炎鵬、阿炎の突きをかいくぐり両手で足を取る。
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幕内最軽量、99キロの炎鵬、155キロの阿炎を持ち挙げる。
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軽々と高く。
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あまりに高く持ち挙げたので、NHKのカメラマンは追いかけきれず、阿炎の体はテレビ画面の外へはみ出してしまった。
館内、沸いた。全国のテレビ桟敷の皆さんも沸いたに違いない。
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炎鵬、足取りで勝つ。
また、この顔も可愛いって人気。
私は、炎鵬の顔はともあれ、北の富士が言うように日本相撲協会への貢献度はとても高いと思う。
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小兵の炎鵬、大型力士に正面から攻められるとどうしようもない。
7日目、隠岐の海に寄り倒される。重ね餅である。いずれ炎鵬、大怪我を負うのではと心配している。
それにしても前頭5枚目の炎鵬、大関以下の役力士ともすべて当たりよくぞ勝ち越した。
初場所第1景はここまで。
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14日目、1敗を保ってきた平幕の正代と徳勝龍の一番が組まれた。
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番付上位で三役経験者の正代が有利と思われていたが、徳勝龍が連日の突き落としで勝つ。
ナントー、幕尻の徳勝龍が単独トップに立った。千秋楽には、出場力士最上位の大関・貴景勝との一番が組まれた。異例の処置。
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この少し後、こういう光景が流れた。
天皇皇后両陛下と愛子さまが国技館に着かれたようだ。Ⅰ4日目、天覧相撲だったのだ。
理事長の八角が先導し、理事以下の親方連中が頭を下げて迎えている。
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両陛下と愛子さま、貴賓席につかれる。
黒っぽいスーツの襟にバッジを付けたSPが多くついている。後ろばかりじゃなく左右の席にもそれらしき人たちが。さりげなく厳重に。

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皇后・雅子さまはふくよかにおなりになられた。とても喜ばしい。愛子さまもお元気なご様子。嬉しい。高校3年生である愛子さま、とても頭がいいとのことであったので、東大へ行くのじゃないかと言われていたが、どうもこのまま学習院大へ進学されるようだ。東大生の愛子さまっていいな、と思っていたので少し残念な思いはあるが、学習院を出た後、ケンブリッジかオックスフォードへ留学されるということをお考えなのであろう。それもよし。愛子さまファンの私は、愛子さまのことならすべて良し。
ここ何年か天皇のヘアースタイルが気になっている。何か7:3か6:4に分けた髪を前の方へというもの。いつか皇室通の人が「今の髪形は、天皇と専属の理髪の人が相談してのもの」と話していたが、こう言っちゃなんだがイマイチどころかイマサンといったものである。もっと髪を上げた以前の髪形に戻してもらいたい。今上天皇も間もなく60になられるのだから。不敬、失礼を承知の上で。
なお、天覧相撲がらみでNHKのアナウンサー、言葉を誤った。「平成天皇」と何度も語った。私もアレッと思った。中継のアナウンサー、ベテランの藤井康夫アナウンサーであったので。暫らく後、さりげなく訂正とお詫びが語られたが、ネット上ではどうこうと言う連中が多くいた。寂しい暇人が多いんだ。
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14日目、貴景勝には一縷の望みがあった。
朝乃山との一番に勝ち、徳勝龍が千秋楽で敗れ、優勝決定戦に持ちこめばという。と、何と徳勝龍の千秋楽の相手、貴景勝となった。貴景勝としては朝乃山との一番、何が何でも勝たなければならない。
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が、土俵際での投げの打ち合い、やはり上手の方が強いというのは相撲通の常識。朝乃山、上手投げで貴景勝を破る。
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両陛下と愛子さま、退出する。
幕内後半の9番を見たのみであった。
昭和天皇や先帝の上皇は幕内前半、土俵入りのところから観戦されていた。次回からは、ぜひ土俵入り、中入り後の取組みからご覧いただきたいと考える。
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今日、千秋楽結びの一番。大関・貴景勝と幕尻・徳勝龍の一番である。
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幕尻の徳勝龍、大関の貴景勝を破る。
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その直後の徳勝龍。
顔がくちゃくちゃになる。
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優勝だ。
NHK、ニュース速報も流れる。
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表彰式に備え、床山が髷を結うっている時でも涙は流れる。
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徳勝龍の優勝インタビュー。
徳勝龍、「自分が優勝していいんでしょうか」と言って・・・
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この顔。
「優勝を意識しましたか?」の問いに、「意識することなく」と応えた後、2、3拍おいて「えー、ウソです。 めっちゃ意識してました」と答える。
涙顔に笑いを取る応答、徳勝龍のファンになる人多くなるに違いない。
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今場所、初場所の上位陣星取。
豪栄道は33場所、5年半保った大関の座から陥落する。引退ということも考えられるが、来場所は地元・大阪場所であるから来場所に期するのではないか。
高安は大関復帰が叶わなかった。来場所は平幕へ落ちる。朝乃山は10勝を挙げ、来場所の大関取りに望みをつないだ。
私が贔屓の御嶽海は負け越した。大関候補の最前線を走っていたのだが、貴景勝に先を越され、朝乃山にも追い抜かれ、北勝富士や豊山などにも追い抜かれつつある。
御嶽海、頑張ってくれ。
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ところで、徳勝龍の幕尻優勝、20年ぶりぐらいだそう。
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徳勝龍、昭和61年生まれ、花のロクイチ組である。
稀勢の里、豪栄道、栃煌山、妙義龍、魁聖、勢、宝富士、碧山、臥牙丸。横綱、大関、三役経験者が名を連ねる。
徳勝龍、その一角で生きてきた。
今後のことを聞かれた徳勝龍、三役という言葉さえ発せず頑張りますと応えていた。
いいんじゃないか、それで。