丸山則夫 季節の瞬間2019展。
丸山則夫という人は不思議な人で、以前、ご自身でギャラリーをやっていた頃は、貸画廊なのに時折り自分の個展をやっていた。借り手がいないので、自分の作品展をやっているのかと思って、丸山さんも大変だな、霞を食って生きているのかな、と思っていた。が、昨年春、まったくそうではないことが分かった。私ごときが心配をするなんておこがましいゆとりある日常にあることに。
昨年末の奥野ビル410・Gallery邨での個展は、丸山則夫の昨年度4回目の個展である。1年に4回も個展をする作家など、私の周りには丸山則夫以外いない。
写真家・丸山則夫、お得意の「季節の瞬間」を切り取る。
「季節の瞬間2019」である。
丸山則夫、夜明け前にこだわる。夜明け前の瞬間を切り取っている。
いつだったか、夜明け前の「風」に押されて、というようなことを記していた。そう言えば、筆名も「風太」と言った。風が鍵である。
ボーとしているが、これらの作品の下には「天」と記されている。
これらの作品の下には「地」と。
「天地人」とくるのか、と思ったら・・・
左の方の作品は「風」、右の方の作品は「香」と記されている。
「風」は解るが「香」とはやや以外であった。「香るですか?」と言ったら、作家・丸山則夫は「そうです。香るです」と答えた。新たに何らかなものを創造しようというもの、感覚、感性の問題なんだ。
その「香」の作品。
これ。
これ。
これ。
写真家・丸山則夫、明るさと言ったと思うのであるが、それを操作すると言っていた。
夜明け前の枯葉だよね、これ。
丸山則夫、こういうことを考えているんです、と語る。
「写真表現哲学的考察」、と記されている。
プラトンか。私にはよく解らないが。
奥野ビル410号室、端っこの部屋なのか、丸窓がある。
前の壁面にかかっている二つの作品はこれ。
そのひとつは、これ。
カマキリだ。
これは・・・
デンデンムシだったか、カタツムリだったか。
ピン止めされた「写真表現哲学的考察」
「ゴッホの浮世絵に触発された作品にこのような」、と作家・丸山則夫は語る。「ああ、広重の。何かこのようなのがありましたね」、と私。
夜明け前、その時間帯には焼酎を飲んでいる私には異次元の時間。
風を感じる丸山則夫の世界である。