足利CON展(2) 神=紙。
小さな子供づれの若いお母さんに会った旧足利館を出た後、すぐ近くの足利学校(後述する)へ寄り、松村記念館へ行く。まずは河瀬さんのインスタレーションを見よう、と。
この門を入る。
松村記念館、大正時代に建てられた古民家。
内蔵がある。
河瀬和世のインスタレーション、その蔵の中。
蔵の中、道具類が見える。
入る。
神と紙、音義を同じくする。
薄暗い空間に浮かぶ白い和紙、まさに依代である。
吊るされた幾条もの白い和紙、蔵の空気を張りつめる。
幅広の和紙が蔵の中を覆っている。
藏の中にはさまざまな物がある。
大正時代が透けて見える。
和綴じの書がある。おそらく江戸期の。
「大日本史」や「十八史略讀本」と何とか読みとることができる。松村家、学問好きの旧家だったんだ。
2階へも上がった。
「階段が狭いので気をつけるてください」、と河瀬さんは言う。地下へも降りたような気もする。狭い階段を使って。
ここはそうでもないが、照明も薄暗い。作家の河瀬和世、「照明は落としてあります。何ならもう少し明るくしましょうか」、と言う。「いえ、このままにしてください。その方が河瀬さんの思いが通じると思います」。と応える。
下へ垂れる和紙を上から撮ったものだが、さすがにこれは暗いと言えようか。
そうではあっても、その方がいい。
小さな窓から入ってくる光に和紙が輝く。
この虫食いのような跡、小さな悪ガキの男の子が来て、引きちぎっていった、と作家・河瀬和世は笑いながら話す。
小さな悪ガキの男の子も、河瀬和世のインスタレーションに参加している。
「久しぶりで河瀬さんの写真を」、と言った。
薄暗い照明の中に立ってもらった。
これも。
旧家の内蔵の中でのインスタレーション、美しい。
白い和紙は神の依代、「神=紙」を十分に体現した。