河瀬和世 巡回展(T−BOX)。

ひと月ほど前、与野で河瀬和代にこう聞いた。「河瀬さんはいつも創作のことを考えているのでしょうか?」、と。こういう答えが返ってきた。「そうです。すべての時間を使い創作のことを考え、創っています。ずっと制作しています」、と。創作家の凄まじい気迫を感じる。
河瀬和世巡回展、埼玉の後はさほどの時を置かず東京である。

東京展は4月中下旬、八重洲のT−BOXで。

ギャラリーへ入る。
私が訪れた日、河瀬和世の展覧会を数多く行っているギャラリー・アビアントのオーナーのノブコさんも来ていた。左は作家・河瀬和世、右はギャラリー・アビアントのオーナー・ノブコさん。
ところで、与野展の折り、作家・河瀬和世はこう話していた。「T−BOXでは作品の半数は入れ替えます」、と。会場の雰囲気も異なる。出展作、半分以上変わっていた。
背後の中央に見える赤い作品は、今回の河瀬和世展のキャッチャーとなっている作品・≪紅のとり≫、この作品は、もちろん東京展でも。

(左)≪草木≫ 手染め和紙(墨・顔彩)
(中)≪紅のとり≫ 手染め和紙(墨・染料)
(右)≪水のはな≫ 手染め和紙(染料)
時空を飛び回っている「紅のとり」、ギャラリー空間を引きしめる。

反対側を見る。

和紙のコラージュ。

左から右へ・・・
≪街角≫手染め和紙(墨)・染め和紙・手染め杉皮紙。
≪坂道≫手染め和紙(墨・染料)・手染めマレーシア紙。
≪格子のある部屋≫手染め和紙(墨)。
≪水道管≫手染め和紙(墨)。
日常世界の幻想化。

≪街角≫。
幾つかのビルがある。ビルには色のついた小さな紙片が貼りついている。密やかに自己主張する街角である。

このパートが面白い。
台の上の立体や立体のようなものが。

≪透の匣≫。
文字通り透けた匣。表すものは何でもよろし、美しい。

後ろの3点は≪生きものたち≫、前の作品は≪エクリテュール≫。

これはニワトリであろうか。
≪生きものたち≫和紙繊維・木・古釘・水性絵の具。

包まれた和紙をほどく。
包むという行為でもある。

作家・河瀬和世が「エクリテュールと言うのです。どうぞ手に取ってください」と言う作品を、ギャラリー・アビアントのオーナー・ノブコさんが触れる。

河瀬和世の作品、さまざまな仕掛けをしている。

「エクリテュールって、何か書いたものとかそういうもののことでしょうか」、と訊く。「まあ、そう言う」、と作家。

作家・河瀬和世の手も出てくる。

平面が立体になることもある。

エクリテュールって書かれたもの、言ってみれば本のようなものだよな、とも考える。

和紙そのもの、静謐な美、といったところも現れた。

河瀬さんも楽しそう。
なお、このスタイルも河瀬さん以外私は知らない。独自なもの。

何日か前、このようなハガキが来た。巡回展の最後はパリとなるんだ。
河瀬和世、パリでは昨年秋にも、16区の教会でひと夜限りのインスタレーションを行っている。
今日夜帰ってきたら、<明日パリに発ちます。・・・・・。来月初めに帰国します。・・・・・>、というメールが来ていた。パリ展は今月11日から27日まで。会期の前後1週間ほどはパリでの勉強、と考えているようだ。大統領選前後のパリ、面白いのじゃないかな。