麻布十番 人間讃歌。

地下鉄の麻布十番で降り、麻布十番通りを六本木の方へ歩く。
麻布十番へ来ることは久しぶり。外国人が目につくが、銀座や新宿などと異なり中国人は少ない。若い欧米系が多い。おしゃれと言えばそうとも言えるが、まあその程度のものと言えばその程度。途中、ひょいと横道に入る。
5月半ば、O美術館での日本表現派東京支部展の折り、山宣から紹介された今岡紫雲英展を訪れた。第45回展。
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麻布十番ギャラリー。
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このような看板と、何というか墨彩のようなオブジェが迎えてくれる。
現代水墨画である。
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ギャラリー内へ入る。広い。
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作家・今岡紫雲英が立って迎えてくれる。
「それ、ご自身でお作りになったのですか?」、と訊いた。「そうです。まだ向こうに幾つかかけてあります」、との答え。「その日その日で、今日はこれを着ています」、と続ける。貫頭衣を思う。
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自ら描き、自ら縫った貫頭衣の如き衣装を着た今岡紫雲英さん、元気いっぱいである。打ちっぱなしのコンクリートの壁の前に立つ。
経歴では確か77歳におなりになるのに、気力がみなぎっている。
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麻布十番ギャラリー、天井も高い。
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空間も利用している。
作家・今岡紫雲英、今までにもこのギャラリーを何度も使っている模様。
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「ところで、第45回展ということですが、このような個展を45回もやられてきたのでしょうか?」、と訊いた。「そうです。私は団体展に所属せずにやってきた時期があったものですから」、と。
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作家・今岡紫雲英は「現代水墨画」と謳っている。
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が、自由闊達な筆使い。活力にあふれている。
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この作品、先般のO美術館にも出ていた≪大道芸人≫である。
「大道芸人」、ここ何年か取り組んでいるテーマだそうだ。令和と改元された5月初めの連休にも、何日か上野公園へ大道芸人を描きに行っていた、と言う。
それにしても、力強く確かな筆致。若い大道芸人と正面から向き合っている。
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上の作品は、≪大空へ≫。
下は左から順に、≪こいのはじまり≫、≪おもい≫、≪こいははな≫、そして、≪こいをつかまえた≫。若者への応援歌だ。
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2階への階段下に何着かの衣装がかかっていた。今岡紫雲英デザイン、縫製の衣装が。
その中のひとつに、人形浄瑠璃の頭を思わせるものが描かれているものがある。
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訊ねたら、「そうです。一時、文楽人形を描いていたことがあります」、とのことだった。
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この壁面には十一面観音が。
趣き深い。
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新聞の切り抜きが貼ってあった。
それによると水墨画家・今岡紫雲英、障がいを持つ人々をモチーフとした作品を10年以上描き続けているそうだ。で、年に2度、鹿児島の施設に行き、施設の人たちと4日ほど過ごしているようだ。たしか、「今年も行った」、と話していた。
そして、このような水墨画を描く。
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この作品のタイトルは、≪夢の中へ≫(部分)。
描いている内に、施設の障がいを持つ人は、リラックスして眠ってしまったそうだ。
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ギャラリーを辞する時、奥の方から表の方へ向かって撮った。作家・今岡紫雲英を入れて。
そうだ、忘れるところであったが、今岡紫雲英の第45回展のサブタイトルは、「人間讃歌」であった。
大道芸人への思い、若者への応援歌、さらに障がいを持つ人たちへの寄り添い、まさに、「人間讃歌」を体現している。


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その後、今岡さんからはこのようなハガキが届いた。
私とひとつしか違わないのであるが、私とは大違い。とてもアグレッシブ。


今日、早見堯からメールが来た。
昨日のこの雑ブログで、北斎の≪西瓜図≫に触れたことについて。
で、早見堯の今日のメールの一部をコピペする。
<昨日の流山雑録にある、トーハク、名品展、いきそびれました。
北斎の「西瓜図」がでていたのですね。
ちょうど、これからシーズンの七夕を描いたものです。正確には乞巧奠(きっこうでん)の儀式をスイカで見立ててるようです。
昔、わたしのもう一つのブログ「アートが丘」に書いたことがあります。
文は小難しいので、挿図に酒井抱一の「乞巧奠」と北斎の「西瓜図」を比較してあります。気がむいたら、一瞥してみてください。
https://blogs.yahoo.co.jp/hayavoir4324/58978733.html
>。
少し頭の中に負荷をかけ、活性化させようか、というお方はどうぞ。
私は「乞巧奠」の儀式も、その言葉さえ知らなかった。
早見堯にはいつも教えられる。しかし私は、すぐに忘れてしまうが。


安倍晋三という男は不思議な男である。
テヘランへ飛んで、アメリカとイランの仲介をしようとしている。
そんな難しいこと、可能性はベラボーに少ないよ。が、安倍晋三は敢行した。
時を同じく、ホルムズ海峡で日本籍のタンカーが砲撃を受けた。アメリカはイランの仕業だと言っている。イランは真向から否定している。おそらく、アメリカとイランの関係をさらに悪化させようという国の仕業ではなかろうか。
今、世界の指導者の中で、イランとアメリカのトランプ双方に仲がいいのは安倍晋三だけだそうだ。
安倍晋三、好きではないが、他に代わる男はいない。日本の首相は今後暫らく、安倍晋三しかないんじゃないか。そう思う。
令和となって最初の国賓にトランプを持ってきたのには、オイオイと思ったが、新皇后の雅子さまが溌剌としていたのには、これはこれで良かったのではと思ったし。


ひとつ明るい話題を。
今日、大谷翔平がサイクルヒットを打った。MLBで。日本人初。
あのイチローも松井も成し遂げられなかった金字塔。とても愉快。