久しぶりの「ビックリ」展。

木場公園のMOT(東京都現代美術館)前から都バスに乗って銀座までトコトコとバスの旅をしたのは、久しぶりで銀座6丁目のギャラリーGKへ行くためであった。
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並木通りを進むと、この看板。
ギャラリーGKお馴染みの「○○もビックリ」シリーズ、今年は「岡本太郎(?)もビックリ!?」である。「My, 太陽の塔展」。
今までフェルメール(?)もビックリしていたし、シャガール(?)もビックリしていた。アンディー・ウォーホル(?)もビックリしていた。
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並木通りから看板の横を入る。細い道を。古い言葉であるが、土一升、金一升の銀座の土地をギリギリに利用したというギャラリーGK。
外から撮ってもこの角度。
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犬飼三千子の作品があった。
≪往にし方(塔)B≫。
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ギャラリー内へ入る。
「あら、久しぶりですねー」、と言ってオーナーの女性が奥から出てきた。
そうなんだ。この2、3年、「○○もビックリ」ばかりじゃなく他の催しもギャラリーGKには行っていなかった。その度毎に具合が悪くなったりしていた。
犬飼三千子の作品はすぐ左手にあった。「犬飼さんは忙しそうで、昨日チラッと見えました」、とオーナーは言う。
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犬飼三千子≪往にし方(塔)A≫。
犬飼のこの塔で岡本太郎の太陽の塔に対抗できるか、岡本太郎をビックリさせることができるのか、といったことは、この際考えなかった。「往にし方シリーズ」、ここ何年もの間、犬飼三千子が突き詰めているテーマであるが。
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この壁面の左端、オーナー、こう語る。「この人は今回出品者の中の最高齢者です。木彫をされる方ですが、それがきつくなったので、今はスチロールを使っておられます」、と。たしか88歳と言ったと覚える。
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この2点。
作家の名は北村隆博。
上は、≪震災 3.11≫。下は、≪貧しい者の叫び≫。
力強い造形、色づかい、さらにそのタイトル、社会に対峙する意識の強い人だと感じる。88歳にして。
この人だと岡本太郎もビックリさせられたのではなかろうか。
と、「そう言えば」、と言ってギャラリーGKのオーナー、こう語る。「今、この一本向こうの道のすぐ前のスルガ台画廊で、野見山暁治さんの展覧会が開かれています。野見山さん、98歳で、現役最長老の作家です。今、6時ですか。まだやっていると思います。行かれたらどうでしょうか」、と。
一本向こうの道、ソニー通りのスルガ台画廊へ行く。「野見山暁治の気ままな小品展」、見る。
野見山暁治と聞くと利根山光人を思う。この二人、同い年なんだ。利根山さんはずいぶん前にあの世へ行ってしまったが。
そう言えば一昨々日記したMOTのReOPEN企画展「百年の編み手たち 流動する日本の近現代美術」にも、利根山光人の≪いけにえ(ダムシリーズ)≫が展示されていた。日本の近現代美術百年の編み手のひとりとして。嬉しかった。
「○○もビックリ」とは少し離れたか。