病牀五輪(3) 平野歩夢とショーン・ホワイト。

思い違いをしていた。前々回、バンクーバーでの冬季五輪の時、腰パン、鼻ピアスのスノボー選手が問題になった。日本を代表する選手がみっともない、と。その選手と平野歩夢を取り違えていた。平野歩夢、ずいぶんクールな男になったなと。
平野歩夢の五輪初参加は、前回のソチからだった。15歳の中学生、銀メダルを取った。
19歳になった平野歩夢、今回のピョンチャンでも銀メダルを取った。と言うよりも、今一歩で金メダルであった。スーパースター、ショーン・ホワイトのギリギリ最後のランが決まり、逆転されるまでは。
ピョンチャン五輪6日目、スノーボード男子ハーフパイプ決勝。

この後、平野歩夢が出てくる。

平野歩夢、Run1のスコアは35.25、失敗している。
Run2で決めなければならない。しかも、勝つためには大技で。

平野歩夢のエア、高い。

その後、「ダブルコーク1440」(縦2回転、横4回転)を・・・

2度続けて飛ぶ。

やったー。
スコアは95.25。トップに躍り出る。

3位、銅メダルを取ったオーストラリアのこの選手、スコッティ・ジェームス、カッコいい。

スノボーの第一人者・スーパースターのショーン・ホワイトのRun2、逆転を狙って大技をしかける。

が、失敗。

Run2を終わり、首位は平野歩夢。わずか1ポイント差でショーン・ホワイトである。
残るはRun3、最後の1本のみ。

平野歩夢、スコアの上積みを狙い最後のラン。

しかし、失敗する。

平野歩夢、Run3のスコアはわずか43.25。平野のベストスコアはRun2の95.25。

平野歩夢、依然1位である。
これで第一人者、ショーン・ホワイトの最後のランを待つ。

スーパースター、ショーン・ホワイト、一発逆転を狙った最後のラン。
さすが第一人者でありスーパースター、最後の最後で決めてきた。

スコアは97.75。最後の最後で逆転だ。
ショーン・ホワイト、スノボーを放り出して吠える。

結果はこの通り。
金メダルはショーン・ホワイト、銀メダルは平野歩夢となった。
それはピョンチャン五輪の結果である。それと共に、平野歩夢、ショーン・ホワイトの心に火を点けた、ということが思われる。
平野歩夢、スーパースター、ショーン・ホワイトのライバルとなったんだ。
オリンピックのアスリートと言っても、アルバイトで月10万、20万を稼いで競技を続けている選手がいる。しかし、スノボーのスーパースター、ショーン・ホワイトはそれとはまったく異なる世界にいる。
「流山子雑録」で腰パン、鼻ピアスのスノーボーダーを探していたら、8年前、バンクーバー五輪の時のショーン・ホワイトのことが出てきた。その前年、2009年の「フォーブス」の記事。
2009年の年収が最も多かった冬季アスリートはキム・ヨナで、年収は800万ドル(当時のレートで約8憶2千万円)。そして、スノボーのショーン・ホワイトはキム・ヨナとほぼ同額の年収があると。
今現在、スノボーのカリスマ・スーパースターとなっているショーン・ホワイト、年間の稼ぎはおそらく10億円前後であろう。そのショーン・ホワイトがライバルと意識した平野歩夢、平野歩夢の価値も上がっていく。
おそらく今現在の平野歩夢の価値は数千万であろう。
が、場合によっては一桁上がり、億の単位になるやもしれない。
これも今のスポーツの一断面。