あかあかと。 中野大輔 日本画作品展。

去年12月初旬、日本表現派の山本宣史からメールが来た。
<・・・・・、この作家は日本画の天才と誰もが思えるほど技量に長けた逸材人物です。銀座へお越しの際は是非ご高覧ください。彼より5年後初出品の山宣より>、というもの。
やはり日本表現派同人・中野大輔の個展。GINZA SIXのギャラリーへ観に行った。

松坂屋から洒落たビルに建て替えられたGINZA SIX内のギャラリー・アールグロリュー、何やらいかめしい入口である。”Artglorieux”なるギャラリー名もいかにも感にあふれているが。

「あかあかと。中野大輔日本画作品展」。

このような映像が流れる。
1974年、京都で生まれた中野大輔、19歳の時から日本表現派展へ出品している、という。


ギャラリー内へ入る。
オッ、右手前の作品は少し前、秋の日本表現派展で見た作品である。憶えている。
≪雄松天昇図≫。2曲屏風。180×180cm。

次の作品は美しい。

やはり2曲屏風。
このような作品。
アールグロリューは(株)大丸松坂屋百貨店が運営するギャラリー、町中のギャラリーとはどこか趣きが異なる。作家・中野大輔、スター作家への道を歩んでいるのだな、ということを感じる。

華やかな作品である。近寄る。

より近くへ。

さらに。
木の葉の濃緑と濃淡の褐色。

その隣は、≪花様今生「月白に戯る」≫。
銀箔が使われている。琳派の世界を思わせる。

その次ぎは、日本表現派展にも出品されていた作品≪雌松抱擁図≫。

向かい側の壁面。

≪十態図「めぐる」≫。

蝶がぐるぐると舞っている。

めぐっている。

あとひとつの部屋へ。

こちらの壁面も。
正面の作品が面白い。

≪牡丹≫。

牡丹の花びらのこの色調、色づかい、何と形容しようか。
得も言えず。

ギャラリー内にモニターがあり、作家・中野大輔が銀箔を扱う様子が流れていた。
箔は多用されている。

ところで、華やかな琳派の世界もそれはそれでいいのであるが、私は華やかさとは対極の、上の「牡丹」のような抑えた色調の作品により惹かれた。
「雄松」と「雌松」の作品のような。
毎年の日本表現派展には、山宣の作品を見に行っている。他の作品には注意をはらわない。
が、昨秋の日本表現派展ではこの作品にどこか惹かれた。≪雄松昇天図≫と≪雌松抱擁図≫。2曲屏風が並んで展示されていた。まるで二曲一双のように。美しい。

≪雄松天昇図≫部分。

≪雌松抱擁図≫部分。
何十年か後、中野大輔、その時代の加山又造になるやいなや。