第62回日本表現派展。

日本表現派展、日本版画協会の版画展と会期をほぼ同じくして、都美術館で催される。
こちらには、やはり古い仲間の山宣(山本宣史)が出品している。今年の作品は気合が入っているそうだ。はたして・・・

この秋の東京都美術館。

山宣の作品が掛かる部屋へ入る。

左に山宣の作品。右の作品は中野大輔である。

中野大輔≪風光りて≫。1800×1800×2。2曲一双の屏風。
丁度1年前、山宣から「この作家は日本画の天才と言えるほど・・・」、というようなメールがきた。その作家が中野大輔であった。「あかあかと。」と題する個展をGINZA SIXの画廊へ見に行った。現代の琳派というような印象を受けた。

≪風光りて≫の一部を切り取る。
モクレンであろう花の間に、色鮮やかな鳥が飛んでいる。

ここも。
鮮やかな花鳥画。

さて、山宣の今回の作品だ。

山本宣史≪別山からの冠雪劔≫。F150。
今まで、山宣が膠彩画と呼ぶ技法で描かれた劔岳の絵は幾つも見ている。その中で、今回の作品はいい。作家・山宣が気合が入っている、と言っているだけのことはある。

冠雪の劔岳、見たことはないが、この絵の「冠雪劔」、とても美しい。

大気は透き通っている。何気ない色づかいも。
以下数枚、今年の山宣作の「冠雪劔」の細部を。




今までのとってつけたような雷鳥と異なり、今年のライチョウは生きている。

長いキャリア、多くの作品を持つ山宣・山本宣史の中でも、代表作のひとつと言えるのではないか。

今年の日本表現派展で「日本表現派賞」を取ったのは、この作品であった。
山田文行≪元栖神社と六夜さま≫。1820×3600。4枚に及ぶ襖絵と言ってもいい。

その中央の2枚を見る。手練れの技である。
実は山宣、今年は日本表現派賞を狙っていたそうだ。しかし、叶わなかった。この作品に敗れた。
山宣、「完璧に負けました」、と言っていた。

ワザなんだな、これも。

これも。

山宣、こうも言っていた。
「この作家とは住んでいるところも近いので、何としても負けたくなかったのだが、いやー完全に負けました」、と。

山田文行、こういう揮毫も。