乱舞する色彩 神彌佐子展。

春ごろ、山宣の日本表現派東京展の時だったろうか、山宣から案内ハガキを貰った。「凄い日本画家ですよ」、と言って。
京王プラザのロビーギャラリーでの神彌佐子展。

5月中旬、京王プラザでの神彌佐子展案内板。

さすが客商売の京王プラザ、ロビーギャラリーのロゴも横文字、金文字。

ギャラリーの外にこの作品が掛かっていた。
神彌佐子≪夏の庭≫。
百合が描かれている。
精緻なデッサン、明暗深い色彩。それが黒い背景に浮かんでいる。得も言えず美しい。

ギャラリー内に入る。

こちらからも。
ウーン、ギャラリーの外に掛かっていた作品とは、どこか趣きが異なる。

まさに、案内状に記されている通り、「乱舞する色彩」である。日本画というより油彩かアクリルで描いたように思える。
ギャラリーには作家の神さんがいた。「顔料は何ですか」、と訊いた。神さんは「岩絵具です」、と答えた。そうなんだ。日本画なんだ。新しい日本画なんだ。さらに・・・
外の≪夏の庭≫は具象と言えば具象であったが、ギャラリー内の作品は抽象である。
作家・神彌佐子のウェブサイトから、作家自身の声を引く。
<テーマは現代にある生命の根源的な混沌を描き出すこと>、と作家は言う。
さらに神彌佐子の言葉を引く。

<水性の仕事は不自由ながら偶発的な表情をつくり出す。
その力と対峙しながら画面上で摩擦と抵抗をライブ感覚で繰り返し、自己にとってのリアルな瞬間に近つこうとしている>、と作家・神彌佐子。

<顔料の持つ色彩の反発と調和を繰り返しながら、エスキースを超えて画面上で別な造形として動き始め、予想しなかった『異なる形』へと暴れ出す事を目指している>、と作家・神。

<等身大のカオスが生命の気配を帯びて現れるまで、私にとって制作することはダイレクトな身体表現でもある>、と神は言う。
50代、ムサビで学んだ神彌佐子、その作品にダイナミズムを感じる。
なお、神彌佐子の作品の素材は、麻紙、膠、墨、顔料、箔などである。
京王プラザのロビーギャラリー、2層になっている。下にもギャラリーが繋がっている。

下へ降りる。
突き当たりには・・・

この扁額。
美しい。

こちらからも。

小品も舞っている。

これは具象が残っている。
が、その色彩は乱舞する。

おそらく手が自然に動くんだ。

ギャラリーを出た後、ロビー階を歩いていた。と、こういう場面に行きあった。
京王プラザに着いた客がロビー階を通りすぎる。そこにこのような作品があった。神彌佐子の作品である。

神彌佐子≪蜜の庭≫。
天地194センチ、左右651.5センチ、2013年の作である。大きい。

こちらにも神彌佐子の作品が掛かっている。

神彌佐子≪fall≫。

こちらも≪fall≫。

ティーラウンジの向こうには、先ほど出てきたギャラリーが見える。

山宣がらみの個展としては、異色。華やかにすぎる。
その作品は確かに色彩の乱舞、まさにプロの技。