マネーモンスター。

エンタメのノリで財テク情報を流しているテレビ番組がある。MCはリー・ゲイツ、「ウォール街の魔術師」と呼ばれている。なかなか人気がある模様。ディレクターはパティ・フェン。生番組である。
その番組に拳銃を持った若い男が乱入、番組はジャックされる。
昨日の『マネー・ショート』は、ウォール街に戦いを挑んだ男たちの物語。鋭い感性とITの技能で頭脳戦を仕掛けて勝利した、というお話であった。得た金はどの程度か。おそらく億なんてものではない。桁が一つ二つ違うであろう。
が、今日の『マネーモンスター』の番組ジャックをした男は、リー・ゲイツが薦めた株を買ったらなけなしの6万ドルを失くしてしまった、という。人質に取られたリー、「その6万ドルはオレが補償するから」と言うが、乱入した若い男・カイル、「そんなことじゃない」という。
現在のトランプ現象にも表れているが、アメリカの格差社会ということが裏にある。だいたい、エンタメ仕様の財テク番組が人気を博しているなんて、その根底には格差があるからってことだよ。多くの貧困層がいる、ということ。彼らが見ている。どだいこんな番組、富裕層の連中は見ないよ。

生番組に乱入しリー・ゲイツを人質に取った若い男・カイルが失ったのは6万ドルであるが、彼が買ったアイビスという企業、この間8億ドルを失っている。
その原因は、アルゴリズム取引のバグだと説明されている。しかし、そのプログラムを組んだ韓国人のSEは、あのプログラムにそれほどのバグが出ることはない、と語る。
アイビスの8億ドルの損失、どうもアイビスのCEOが怪しい。
南アフリカの鉱山での労働争議も絡む。アイビスCEOの行動、ますます怪しい。世界の格差のことも考える。

『マネーモンスター』、監督は大女優・ジョディ・フォスター。ジョディ・フォスター、4作目の監督作。
リー・ゲイツに扮するのはジョージ・クルーニー、テレビ番組のディレクター・パティ・フェンに扮するのはジュリア・ロバーツ、そして番組ジャックをする若い男にはジャック・オコンネル。
ジョディ・フォスター × ジョージ・クルーニー × ジュリア・ロバーツ、アカデミー賞受賞の大物三人、という喧伝もある。たしかに、そう。

リー・ゲイツのジョージ・クルーニー。
乱入した若い男・カイルに、「君が失くした6万ドル、オレが補償するよ」、と言うのだが、だんだんことの本質はそういうことではない、と思うようになっていく。

テレビ番組のディレクター・パティ・フェンのジュリア・ロバーツ。
番組のMC・リーに指示を出し、乱入した若い男・カイルの気を静め、巨悪アイビスのCEOの正体をも暴いていく。

なけなしの6万ドルを失い、テレビ番組「マネーモンスター」に拳銃を持って乱入した若い男に扮するジャック・オコンネル。
ベテラン女優、才能のある人は演じるのではなく演じさせる、つまり監督をすることがままある。
この作品のジョディ・フォスターもそう。そして、アンジー、アンジェリーナ・ジョリーもそう。
記そう、と思いながらまだ記していないが、アンジー、先般『不屈の男 アンブロークン』を撮った。日本での公開、いささかもめていた作品であるが、その作品の主人公を演じたのがジャック・オコンネル。
ジャック・オコンネル、女流監督に好まれるのかな。

マネー・金というもの、アメリカにおいてもヨーロッパにおいてもアジア、日本においても二極分化している。
持てる層と持たざる層。
その格差、どんどん開いている。だから、おそらくドナルド・トランプがアメリカ大統領となる。
表向き共産主義国家であることを表明している中国やベトナム、キューバなども含め、世界の国々、みな市場主義経済、資本主義である。
その中で格差が起こる。
資本主義を超え得るムーブメントは起こるのであろうか。