吉備の国アート巡り(20) 家プロジェクト「石橋」。

本村エリアは役場や農協のある直島の中心部である。が、半径数百メートルのコンパスでグルッとすれば収まるほどの広さである。まあ、狭い。家プロジェクトの家、どこへ行くにもすぐ。
家プロジェクト「石橋」へ。

このような道を進む。
右側へ1、2分歩くと海へ出る。

左の建物の前に、係の人が立っている

家プロジェクト「石橋」。

千住博の≪ザ・フォールズ≫と≪空(くう)の庭≫があるようだ。

ベネッセ・アート・サイト内の美術館ばかりじゃなく、本村エリアの家プロジェクトもベネッセが展開するアートサイト。
ところで、ベネッセ、ベネッセホールディングスの会長兼社長の原田泳幸、昨日、辞任を表明した。
ベネッセの中核事業は「進研ゼミ」、通信教育である。が、2期連続の巨額の赤字となった。その責任をとる、と語っている。原田泳幸、アップル日本法人や日本マクドナルドの社長を歴任、経営のプロとしてベネッセのオーナー・福武總一郎から迎えられた男である。
しかし、2年前、原田の就任直後、個人情報流出が発覚する。3000万件とも3500万件ともいわれる情報流出。「進研ゼミ」の会員数が激減する。対策は打ったが、厳しい状況に歯止めはかからなかった。
今の時代、個人情報の流出は、企業にとって命取りとなる。個人を対象としている通信教育事業に於いては、なおのこと。それ以前に、延々と続く少子化がある。潜在顧客自体が年々減っているんだ。今、この業界は厳しい状況にある。ベネッセといえど、経営のプロ・原田泳幸といえど、短期での立て直しは難しかったのであろう。

「石橋」の入口を入る。

カメラはここまで。

焼杉の壁。

「石橋」、大きな家である。製塩業で栄えた家だそうだ。
大きな母屋、そして蔵にも千住博の≪ザ・フォールズ(滝)≫が描かれている。

千住博の「フォールズ(滝)」の写真はない。が、表のこれ、焼杉の壁は「フォールズ(滝)」に見えないか。

千住博の筆使いに勝ると言えないかな。巧まずして。

新しい見学者が来た。

私は来た道を戻る。
白人と黒人のこのカップル、この後、何度も行きあった。

このおひとりさまのお嬢さんとも。
食堂が幾つかある。昼飯を食う。


日産自動車、三菱自動車に2370余億円を出資した。三菱自動車株の34パーセントを押さえ、事実上の傘下とした。カルロス・ゴーン、何て素早い。
三菱自動車の燃費偽装問題、軽自動車に加えRVRでも、と三菱自動車の会長が記者会見で謝ったのは昨日である。それが今日、日産自動車による三菱自動車への巨額出資、業界再編である。
カルロス・ゴーン、「ウィンウィンの関係に」と語る。もちろん、日産と三菱の協議、昨日今日のことではなかろう。それにしても、決断が速い。その年俸、億の単位で二桁代を取るだけのことはあるな。


世界のニナガワ・蜷川幸雄が死んだ。
その舞台を直接観たことはない。が、映像や静止画では見知っている。西欧世界の人間には、やはり驚きであったであろう。誤解を恐れずに言えば、「和のテイスト」であろう。その表現は異なるが、舞踏が西欧社会に与えたものと同質のものではなかろうか。世界のニナガワとなったこと、理解できる。
ところで、「世界の○○」と言われる人を思い浮かべた。
案外いない。
今、「世界の○○」と言われる人、すぐ頭に浮かぶのは、世界のオザワ・小澤征爾、世界の草間・草間彌生、世界のキタノ・北野武、ウーンそのくらいである。数少ないそのひとりが死んだ。


1週間前、ベネッセハウスミュージアムについて記した折り、そのパンフからジャン・ミッシェル・バスキアの作品を複写したものを載せた。
昨日、ニューヨークでのクリスティーズのオークションにバスキアの作品が出た。何と、62億円余で落札された。ニューヨークの町中をスプレーで殴り描きし、アッという間にあの世へと駆け抜けていったバスキアの作品が。
それにしてもITというもの、ツボにはまればべらぼーな利益をもたらす。通販サイト、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイのオーナー社長である前澤友作もそのひとり。べらぼーな金持ちである。
昨日、クリスティーズのオークションでバスキアの作品を62億余円で競り落としたのは、その前澤友作であった。前澤、「いずれ公開する」、と言っている。
「世界の○○」というのとは異なるが、まあ、めでたいことではあるのではないか。