バー十月 10周年。

たとえ10年にしろ同じ商売を続けていくのは、並み大抵なものじゃない。
かずこさん、新宿ゴールデン街で、小さなバーを10年間続けた。大したものである。
今日、「バー十月」の10周年記念パーティー、新宿テアトルの6階で催された。

大勢の人が来ている。

バー十月、10人も入ればいっぱいなのに、

今日は130人ほどの人が来ているらしい。

座れる人は幸い。座れない人も多くいる。

何人かの人が挨拶をしていた。
何々先生というこの人、広島だったか九州だったかから来ていた。バー十月、ちっぽけな店ながら、全国ネットなんだ。

かずこママと乾杯の音頭をとった若い男。
この若い男、5年前からの知りあいだ。彼の親父さんには何度か会っているが、ある日、ゴルフ場で死んだ、と言う。心臓で。前日までは元気であったのだが、と若い男は言う。
若い男、乾杯の音頭の前振りに、福岡伸一の分子生物学による5年周期なんてことを語る。何でも5年でそっくり変わるそうだ。10年はその2周り、と5年前と変わらず感じのいい若者は語る。
かずこさんは、楽しそうだ。

その後、クラウンのパフォーマンスがあった。

皆さんの目がクラウンへ集まる。

クラウン、皿回しも。

かずこママ、楽しそう。

名前は聞き洩らしたが、凄いギタリストであった。たしか、ドイツで活動していると言っていた。
アランフェス協奏曲、水面に引きこまれる如き調べ。
と、突然、シギリアスだか、アレグリアスだか、ドゥェンデ、深いフラメンコの調べに変わる。

と、白い衣装を纏った若い女が現われる。

高橋芙実の舞踏。

イヤー、素晴らしい。

日を改めてこの舞踏の様は、アップしたい。

予定外、突然に梅津和時が登場した。

サックスの調べ、バリバリバリバリ、とこれでもかと響き渡る。

”海は荒海 向こうは佐渡よ ・・・”、サックスの調べ、何とも言えず。佐渡、かずこママのお父さんの故郷だそうだ。

かずこママと梅津和時、握手。

私たちのバー十月との関わり、元はと言えば犬飼三千子から。
日中韓の美術何とかにコミットしている犬飼三千子、中国や韓国の絵描き仲間ともつき合いがあるもよおし。
いいよな。頑張ってくれ。

小さな記念品をもらった。
赤地に白く染め抜がれた手拭いと「百花十月」と題された極々小さな文集。
その紙片、開くと。
「十」と「三日月」が並ぶ。
「十月」である。
中を開くと、まず、「緩急自在 Poetry 十月の鄙歌」 原田克子。
   十月に雨が降る
   乾いた夢が潤うように
   夢が育っていくように
   ・・・ 
   ・・・
次いでは、「奇貨可居 Sketch 酒飲みに今度はない」 酒井充子。
<今年の五月、光州国際映画祭に招待され韓国の光州へ行った。光州事件をご存じだろうか。>、と書き出される。
最後は、「豹死留皮 ラテンアメリカ前衛詩人列伝10 エンリケ・ゴメス・コレア」 鼓直。
<スペイン北東部のサラゴサ市は、L・ブニュエルの生地。そこに・・・>、と記される。
「百花十月」、いやバー十月、あくまでラディカル。