レッド・ファミリー。

子供たちを優しく見守るお母ちゃん、息子命であったが、その夢が敗れた後は、娘も含めいい父親になっていくお父ちゃん。ややできすぎているキライはあるが、学年ビリのギャルが慶應に入ろうと入るまいと、名古屋の「ビリギャル」の一家、ごく普通の家族である。
お隣の国・韓国のソウルに、もっと普通というかノーテンキな家族がいる。お父ちゃんもお母ちゃんも自分勝手、疲れたおばあちゃんとヤワな息子の4人家族。四六時中、怒鳴り合って家族でケンカしている。ノーテンキと言えばノーテンキ、ダメ家族と言えばそうではある。しかし、これに近い家族なんていくらでもいる。ごく普通と言えば普通の家族である。
ところが、その隣りには、それとは正反対のいわば理想的な家族が住んでいる。誠実そうなお父ちゃん、きれいなお母ちゃん、愛らしいひとり娘、それに優しそうなおじいちゃんの4人家族。

「それにしても北朝鮮ってヒデー国だな。いったい何考えてんだ」なんてことを今さら言ったところで、どうしようもない。
「拉致被害者の調査、今度こそきちんとすろ」、と言ったのに一年以上経っても梨のつぶて。飢えている国民もいると言うのに、ご本人だけは異常に太っている30になるかならずかといった若い首領。気に入らなければ、自らの後ろだてである人物をも殺してしまう男が仕切る国が北朝鮮、と言えよう。
北朝鮮も独立国、他国からどうこう言うのもはばかれるが、その国民は気の毒だ。自らの意思を示したら、いつ殺されてもおかしくない世界に属しているのだから。
前述の四六時中ケンカをしているダメ家族は、韓国の普通の家族なんだ。で、その隣りに住む理想的に見える家族は、実は北朝鮮から送りこまれたスパイによる疑似家族なんだ。

『レッド・ファミリー』、監督はイ・ジュヒョンであるが、製作・脚本・編集はキム・ギドクである。
キム・ギドクとなれば、ただじゃ済まない。ヤバい展開になるに違いない。

真ん中の矢印の家が北朝鮮スパイの疑似家族が住む家である。中流家庭が住む、ソウルのそこそこの住宅地だな。
右の家族は、四六時中ケンカをしているごく普通の家族。左の家族は、理想的な家族を装っている北のスパイの疑似家族。

理想的な家族を装っている北朝鮮のスパイ、ツツジ班と言う。その裏には、北朝鮮での軍事組織、規律に縛られている。
このツツジ班の班長・リーダーは、母親役の女である。その規律、驚くほど厳しい。

キム・ギドクが脚本を書き、目をつけた監督を引っぱってきて、製作した作品である。
キム・ギドク、どう折り合いをつけるんだ、と思っていた。
キム・ギドク、南北問題を正面から受け止めた。南北統一を願っている作品だ、と思われる。キム・ギドクのパンチが炸裂、というものとは異なる作品である。
朝鮮民族の思い、他民族には解からぬことが多いのは当然のこと。

『レッド・ファミリー』、その結末は悲しい。南にありながら、この疑似家族も北から監視されている。
北朝鮮スパイの疑似家族、南のダメ家族に羨望を抱く。悲しい結末となる。
南の四六時中ケンカをしているダメ家族からは、「北の指導者はただのガキだ」、という台詞もでてくる。
たしかに、そうである。しかし、その「ただのガキ」の下、自ら命を絶つ人たちがいる。
幾重にも、気の毒だ。


FIFA会長へ5選されたばかりのブラッターが、辞意を表明した。
当然である。
多くの人がどうこう言っている。次の会長に、と手を挙げた人もいる。
私が考えるFIFA次期会長の条件は、ただひとつ。
ブラッターの辞意表明以前に、ブラッターを批判していた人物に限ることだ。辞意表明の後に、「これからは徹底的に膿を出して・・・」なんてことを言っているヤツはダメだ。そういう後出しじゃんけんのような連中は、パスすることが肝心だ。