にっぽんのこころミュージアム。

”水の国日本「水の祈り展」の隣りに、”にっぽんのこころミュージアム”と称する部屋があった。

「水の祈り展」と異なり、展示品、さまざまなモノが入り混じっている。

入っている人もいない。
”にっぽんの心を伝える作品が集結”、と謳っているのであるが。

≪千手千眼観音≫。馬場崎研二作。東福寺 退耕庵所蔵。

退耕庵、東福寺の塔頭のひとつ。
<ダライ・ラマ法皇が御魂入れをされた>、との説明書きが付いているタンカである。

≪巳録≫。井上隆保作。青柳窯。
”巳録”、その形状から見るに、”巳”を現わしていると共に、”弥勒”をも表わしているやに思える。釈迦入滅後56億7千万年後に、衆生を救済するために現われる”弥勒菩薩”をも。

≪白龍水神図≫。井上隆保作。丹生川上神社下社所蔵。
<丹生川上神社下社(にうかわかみじんじゃしもしゃ)、朝廷の保護あつい、水の神をまつる古社>、と説明書きに。
写りこみを避けるため斜めから撮ったが、淡い緑青色の滝を白い龍が昇っていく様、神々しい。

≪大関把瑠都優勝化粧回し≫。加藤正樹氏所蔵。
<2012年、大関把瑠都が初優勝した際の化粧回し。画家・井上文夫がデザインを手掛けた>、と説明にある。

シルバーアクセサリーのブランド・Justin Davisが把瑠都に贈ったようだ。
Justin Davisらしい硬質なデザインの化粧回しである。
でも、それが何故今、第三者の手に渡っているのであろうか。把瑠都、日本を離れる時、この化粧回しも手放していったのであろうか。それなら、把瑠都、あまりにも寂しいよ。多くの日本人が愛した好漢・把瑠都であったが故。

≪観音図≫。岩崎巴人作。
何年か前、90を過ぎて死んだ岩崎巴人、今、山宣・山本宣史が活躍する日本表現派の創立同人である。
晩年は、こういう絵も描いていたんだ。
”にっぽんの心を伝える作品”を集めた、という”にっぽんのこころミュージアム”、入った時には「何じゃこれ」って思っていたが、それはそれで面白かった。

八芳園6階の大きな窓ガラスを通して下を見る。
ビルに囲まれた庭園の池には、金襴の錦鯉が泳いでいる。