フォートリエ展。

東京駅丸の内赤煉瓦駅舎の北口ドーム下、改札口のすぐ横に東京ステーションギャラリーの入口がある。

ジャン・フォートリエ、没後50年、日本初の大回顧展。100点近くのフォートリエの作品が並ぶ。

”絵画なのか”って、まさしく、そう。
確か5〜60年前、岡本太郎がこう言っていた。「20世紀の絵描きでピカソを越えた男は、デュビュッフェとフォートリエとオレ・岡本太郎だけである」、と。岡本太郎が、デュビュッフェやフォートリエと自らを同列に置くのは自由であるが、それはなー、と言うもの。私は、ピカソを越えた絵描きとして、フォートリエと共にジャン・アトランを挙げる。
フォートリエの”人質シリーズ”、それほどの圧倒的なパワーを持っていた。

ステーションギャラリー入口前のディスプレイ。
映っている作品は、≪林檎≫。1940〜41年の作品。

≪悲劇的な頭部(大)≫。1942年の立体作品。
顔面の半分が削り取られている。

≪人質の頭部≫。1944年の作品。
ナチス・ドイツによるパリ陥落。レジスタンス。フォートリエもナチスのゲシュタポに狙われていた。
パリ解放前、フォートリエ、多くの”人質シリーズ”を描く。厚塗りのマチエールに浮かぶ頭部を。第二次世界大戦が終結した後、発表されたフォートリエの”人質シリーズ”、時代を変えた。

東京ステーションギャラリー、展示室は3階と2階。まずエレベーターで3階へ上がり、階段を使い2階へ降りてくる。
このような螺旋階段を。しっとりとした味がある。

このようなところを下りる。

3階から2階へ、と。

この建物、重文なんだ。

≪管理人の肖像≫。1922年の作。
若いころのフォートリエ、レアリズムを追っていた。

≪兎の皮≫。1927年の作。
この頃、黒の時代と言われている。黒っぽい作品が多い。単なるレアリズムではない。

≪黒の青≫。1959年の作。
”人質”を突き抜け、やりきれない重さからも離れ、でも、自身の根幹は、と言った作品と言えようか。

ステーションギャラリーを丸の内北口のドーム側2階へ出る。
右手下に改札口が見え、左手下にはステーションギャラリーの入口が見える。

この夏、バルチュスとフォートリエ、20世紀を代表するビッグネーム二人の回顧展が開かれた。
まさに眼福。
なお、フォートリエ展、今、9月15日までは豊田市美術館で、その後9月末から12月初めにかけては、大阪の国立国際美術館へ巡回する。