東博の巳(続き)。

1月も残り少なくなってきた。もうひと月が過ぎちゃうんだ。速い。新年がらみ、今月中に終わらせなきゃ。
「東博の巳」、今日は描かれたヘビ。

岩山に坐す蛇使いの女(アサヴァリ・ラーギニー)。
インド 北デカン、紙に水彩、18世紀後半
<アサヴァリ・ラーギニーでは、孔雀の羽をつけた女がビャクダンの木の下に坐り、周りに蛇たちが集まっているという図像が一般的である。アサヴァリという名は、蛇使いの部族であるサヴァラに由来する>、と説明書きにある。
女の蛇使いは知らないが、インドでは男の蛇使いはあちこちで見かける。猿使いもいる。一度だけだが、熊使いと思しき人と熊とが歩いているのを見たことがある。

和漢三才図会 巻45、46。
寺島良安編、江戸時代 正徳2年(1712)成立。
<『和漢三才図会』は江戸時代中期に刊行された図入りの百科事典で、全105巻。・・・・・生物の項目は明の『本草綱目』を基礎にしており、日本に生息するヘビについては和名を載せている>、とある。
『和漢三才図会』、明治期の1巻本を持つ。利用はしていないが。

博物館虫譜。
栗本丹洲他筆、博物局編、江戸〜明治時代写・明治11年(1878)編。
<『博物館虫譜』は江戸時代後期から明治時代前期にかけて描かれた生物の写生図を博物館で編纂した資料。「蛇類」の中には・・・・・>、と。

胆松に白蛇。
渓斎栄泉(1791〜1848)筆、色紙判 摺物、江戸時代 19世紀。
<・・・・・。新春を寿ぐ絵と狂歌を合わせた春興摺物を制作して交換することが江戸後期の趣味人に流行した。弁財天の使いとされるめでたい白蛇が松の木に絡み、朝日が昇っている。巳年元旦にふさわしい摺物>、と。
なるほど。

二代目嵐三五郎の巳の字巻物持男。
勝川春章(1726〜92)筆、細判 錦絵、江戸時代 18世紀。
<新春の吉例として上演される『曽我物語』で、二代目嵐三五郎が「巳」の字を書いた巻物を広げる工藤祐経を演じている。三五郎の初役工藤は、安永6年(1777)正月、・・・・・>。

「巳の字の巻物」ってこう読み、こういうことだそうだ。

椿説弓張月 為朝の大蛇退治。
三田北鵞筆、大判 錦絵 3枚続、江戸時代 19世紀。
<従者須藤重季、狼の山雄と山中で眠ってしまう弓の名手 源為朝。突然の山雄の咆哮に驚いた重季が・・・・・。首だけとなった山雄が大蛇に噛みつき、為朝を守ったという滝沢馬琴作『椿説弓張月』の一節>。
パパンパンパン、張り扇の音が聴こえる。

仏涅槃図。
絹本着色、室町時代 15世紀。
<釈迦入滅の様子を描く。・・・・・、泣き悲しむ菩薩や仏弟子たちを配す。知らせを聞いた多くの動物や虫たちも参集し、さながら動物図鑑のようである。画面左下、ヘビもこの場に駆けつけている>、と。
お釈迦さまが亡くなった時には、人間のみならずあらゆる生き物が悲しんだ。

鳥獣人物戯画 丙巻(摸本)。
山崎薫詮(1817〜93)模 紙本墨画、江戸時代 19世紀(原本:鎌倉時代 13世紀)。
<兎、猿、蛙などが相撲や法会、蹴鞠などに打ち興じている。巻末、突然のヘビの登場により、・・・・・。慌ててヘビから逃げだす蛙たち>。
山崎薫詮なる模写した人も上手いな。鳥羽僧正に肉薄している。凄い。
ところで、今日、大相撲初場所千秋楽。

楽日を待たず、日馬富士、昨日、14日目で優勝を決めた。今日も勝ち全勝優勝。ウーン。

出かけることが重なり、今場所は1/3程度しか見ていない。しかし、どこか時代が動いた場所であったような気がする。
何より、場所中に大鵬が死んだ。傑出した横綱、時代そのものを体現する男であった。その大鵬が死んだ場所。
今日の取組み後の高見盛。勝ったのだが、浮かぬ顔。
高見盛、今日、引退を表明した。十両12枚目、5勝10敗では来場所は幕下へ落ちる。高見盛だ、幕下で取ることはない。引退表明、当然だ。いいやつだった。親方・振分となる。いい弟子を育ててほしい。

今場所の雅山、幕尻であった。負け越せば、十両へ転落する。その今場所、雅山、大きく負け越した。
雅山は元大関である。十両で取ることもなかろう、と思っていた。ところが雅山、来場所十両で取り、また幕へ戻ってくる、と語っている。燃え尽きるまで相撲を取る、と。
ま、それも相撲人生。やってくれ、雅山。

把瑠都の大関復帰も為らなかった。
把瑠都、今日、遥か格下の勢と物言い取り直しの末勝ち、かろうじて勝ち越した有り様。大関に戻してやりたかったが。
9日目の白鵬、把瑠都の一番を思い出す。
勝負はあっけなくついた。立会い、右上手を引いた白鵬、そのまま寄り切った。この日で、把瑠都は4敗となった。だがしかし、私が、オッと思ったのはその直後。
勝った白鵬、把瑠都の回しをポポンと叩き、少し間を置きポンと叩いた。角界を背負って立つ白鵬の把瑠都へのエールである。把瑠都、頑張ってくれ、という。おそらく、把瑠都にも通じていることであろう。
その場面を見た私、今場所は白鵬に優勝させてやりたかった。しかし、為らなかった。とても残念。

昨日、アルジェリア、イナメナスから日本人最後の犠牲者・日揮の最高顧問の遺体が帰ってきた。すべての日本人が帰るのを見届けての帰還、いかにも最高顧問らしい。
イナメナスのプラントには日本人が17人いたが、7人は助かり、10人は殺された。
Google Earthで見てみると、黄土色の中に、人工物が造られている。並みの世界ではない。ガス田、アルジェリアの重要な産業である。施設の周りは軍隊が守っていたそうだ。しかし、破られた。イスラムのテロ組織が送り込んだ集団に破られた。マリ情勢と関係がある。
上は、今日のALJAZEERAから。命を賭して欧米と戦うイスラムテロ組織、次々に生まれている。日本はアメリカの同盟国、常に狙われている。

イナメナスの事件、人質の命よりはテロ組織の殲滅、というテーゼが表に出、それが欧米諸国から認められた。日本も後追いするしかなかろう。資源を得るには命を賭する、という覚悟が求められることが。
上は、AL ARABIYAの映像から。19日、7人の人質と共に、ガス田プラントに立てこもった11人のイスラム過激派のテロ集団、殲滅された。このアルジェリア軍の特殊部隊により。人質も死んだ。これが、現実のテロ戦争と思わなければ。
この事件に関し、企業戦士という言葉が多く使われた。企業戦士、保身は人任せ。厳しい状況の下にある。
それにつけても思う。
事件発生以来、常に冷静に情報を発信し続けた日揮の広報・IR部長、さらに、現地へ乗り込み社員の安否確認(実質上は、遺体確認)に当った日揮の社長、この二人の人は、大した人であったと思う。
厳しい状況の中、貴方たちの言動に、身を寄せた人、私のみではなかろう。おそらく、日本中の人たちがそうであったに違いない。