早稲田美剣60−70 第7回展 出品録(3)。

久保寺洋子、相変わらず盛り沢山である。

久保寺洋子の作品、いっぱいある。
毎回恒例のその年の80号の油彩≪輪違屋≫をはじめ、いろいろな作品がある。搬入日の翌日にも、新たに持ちこんでいるんだから。
話好きの久保寺洋子、来る人毎に、「これは、どう。これは、こう」、と説明している。

≪輪違屋≫の左側にあるものは、皮絵≪紫陽花のついたて≫。1880年頃の作品だそうだ。
ヤンピー(羊皮)を叩いて打ちだし、ドイツ製の染料で色づけしたもの、と言う。ついたての枠は桑の木だ、と言う。作品を京都へ送り、京都の職人がついたてに仕上げたものらしい。手間ひまもコストも、相当かかったことだろう。
それにしても久保寺洋子、こういう作品をみな保管しているらしい。
久保寺、一人でゆとりのある住まいに暮らしているらしいが、絵や作品を保管するのに一部屋を当てているそうだ。また、あちこちの骨董市で求めた古い布や着物の保管には、また一部屋を当てている、と言う。

≪紫陽花のついたて≫に近寄る。
蝶が飛んでいる。
”猪鹿蝶”、蝶には牡丹が倣いであるが、久保寺の蝶は紫陽花に飛んでいる。

その横には、≪白い枝のオブジェとちりめん細工≫。
白く塗られた枝は、桜だそうだ。ちりめんで作られた花々が咲く。

右側、≪輪違屋≫の手前にも、さまざまなものが。

こちらにも≪白い枝のオブジェとちりめん細工≫。

蓮の実や魚や人形もある。いずれもちりめん細工。

蓮の実の種の後に、ちりめん細工。

ちりめんの魚。
鯉のようだ。泳いでいる。
ちりめんばかりじゃなく、どのような布もすべて使う、捨てるものなどない、と久保寺は言う。

これは、天児(あまがつ)だな。

カエルもいる。

小ぶりなこの着物、古い着物から作ったそうだ。
人形に着せるものとのこと。とてもシック。
実は、初日のオープニングに来ていた銀座のクラブのママが、「譲ってほしい」、と久保寺へ言ったそうだ。
しかし、久保寺洋子、断ったそうだ。
久保寺が保管するのも、それはそれでいい。
が、常に着物姿であろう銀座のクラブのママの元へ行くのも、それはそれで意味あることであったのじゃないかなー。