すべてはドログバだった。


ドログバがベンチスタート、と知った時、よしこれは勝てるぞ、と思った。36歳のドログバ、やはり全盛期からは力を落としている、と言われる。先発から外れ、ベンチスタートであることも十分に考えられる。
しかし、そうは言ってもドログバには、神に近い不思議な魔力がある。単なるドログバ個人の力のみではない。だから、ドログバが先発を外れたことで、よしこれは勝てるぞ、と思ったのである。
だがしかし、ドログバの神に近い不思議な魔力に日本は屈した。
すべてはドログバであった。

FIFAW杯2014ブラジル大会、日本の緒戦の相手はコートジボワール。日本のイレブン、円陣を組む。

試合前のザッケローニ、その表情、少し硬いな。

ゲーム開始。前半の45分が始まる。
キックオフ直後からコートジボワールに押される。シュートも放たれる。日本、動きが硬い。
と、16分、日本の初シュートが・・・

長友からのボールに本田が左足を振り抜く。ややバランスを崩しながらも。

本田の左足を離れたボールは、コートジボワールのゴールネットの左上に突き刺さる。
日本、先制する。
よしっ。

本田、雄叫びをあげる。
「見たか、オレが、本田だ」、とでも言っていたのか。

日本が先制した。しかし、ゲーム自体はコートジボワールが終始押していた。ボール支配率も高い。

そのコートジボワールで気になる選手は、この男。
コートジボワールのトップ下、司令塔のヤヤ・トゥーレ。存在感のある顔貌である。

日本、1対0、リードして前半を折り返す。
ハーフタイムのスタンド。日本のサポーターも多くいる。

後半が始まる。
ピッチへ戻ったメンバーは、前半と同じ。

長友、相手の俊足フォワード・ジェルビーニョと競る。

長谷部が倒される。

ザッケローニ、キャプテン長谷部への思い入れが、どうも強い。
後半8分、長谷部を下げ、遠藤を投入する。キャプテンマークも、長谷部から遠藤へ。

本田と遠藤、フリーキックの二枚看板ではあるのだが、キャプテンである長谷部を下げる、という判断はどうだったのか。

この後、コートジボワールのベンチが動いた。
この男、ドログバが投入されるようだ。

後半17分、満を持してドログバが投入された。
日本、ドログバの魔力に耐えられるのか。

ドログバ登場に、コートジボワールのサポーターは、ドッと沸く。

日本の番長・本田、ドログバに鋭い一瞥を飛ばす。

しかし、ドログバ投入のわずか2分後、コートジボワールにゴールを奪われる。1対1となる。

それだけでは収まらない。その2分後、またもやコートジボワールにゴールを奪われる。
1点目はボニーで、2点目はジェルビーニョ。ドログバのゴールではないが、ドログバが入ってきたことによって生まれたゴールである。ドログバの魔力、魔術である。

ゴールを挙げたジェルビーニョとドログバ。
ドログバの顔、神々しく輝く。

ドログバだ。
圧倒的な存在感がある。
左の男は、日本のディフェンダー内田篤人。内田、「可愛いネー」って女性の方々から人気がある。が、圧倒的な存在感のあるドログバの前には、戦う前から吹っ飛ばされているような感を受ける。

後半40分、ザッケローニ、香川を下げ柿谷を投入する。ザック、香川を下げたか。
このゲーム、たしかに香川も岡崎も、唯一のゴールをあげた本田も長友も、そのパフォーマンスは悪かった。特に、ドログバの魔力、呪術にしてやられた、と言っていい。

日本、2対1で敗れる。
年間の散髪代に1900万円をかけている、という本田の頭も手入れが必要なようだ。

日本の監督・ザッケローニに残された時間は少ない。どうするか。
今、サッカー親善大使として、カズ・三浦和良がブラジルの地にある。カズは、念のため、スパイクと脛当てを持って行く、と言っていた。
カズを緊急招集しろ。そして、カズをワントップとして起用しろ。
大久保はまだしも、大迫や柿谷なんかをワントップに据えるなんてことは、とても許容できない。
先発のワントップにカズを入れろ、ザッケローニ。

それはともかくこのゲーム、ボール支配率は、コートジボワール58%に対し日本は42%。シュート数に至っては、コートジボワールの20に対し日本はわずか7。パス成功率も10%ほど離されている。
これじゃ勝てるわけがない。
今日のこのゲームのMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は、コートジボワールの司令塔・ヤヤ・トゥーレが選ばれた。当然だ。
ヤヤ・トゥーレの顔貌、50年前の東京五輪でのマラソンの覇者、アベベ・ビキラに重なる。