遠いゴールは那辺にありや。


W杯ブラジル大会一次リーグC組。
緒戦に敗れた日本の第2戦。

相手はやはり緒戦に敗れたギリシャ。

今日のザッケローニ。
その表情は、やはり硬い。

ザッケローニ、第1戦からスターティングメンバーを2人変えてきた。
香川に変えて大久保、森重に変えて今野。ベンチスタートの香川、どこで投入するか、といった布陣。ザッケローニの構想、悪くない。

ゲーム前の円陣。

キックオフ後の日本、先日のコートジボワール戦と異なり、動きがいい。日本が押してゲームは進む。
前半28分、敵陣ゴール前でフリーキックを得る。

キッカーはもちろんこの男。本田だ。
本田、直接ゴールを狙う。蹴ったボールは枠を捉えていた。
しかし、相手キーパーに止められる。解説の岡田武史、「読まれていたな」、と口にした。たしかにそう。本田の狙い、本田の球筋、どのチームであれ対戦チームのキーパー、重々承知の模様。

前半38分、ギリシャのMFカツラニス、長谷部への反則で2枚目のイエローカードを貰う。2枚のイエロー、レッドカードだ。退場だ。
カツラニス、ギリシャのキャプテンである。相手にとっては痛いに違いない。何より、日本にとっては数的に優位な状態となる。11対10だ。どんどん行け、という状況。しかし、前半は0対0で折り返す。
後半開始時、長谷部に変え遠藤を投入する。今日、イエローを1枚貰った長谷部の温存、ということもあろう。後半12分には、大迫に変え香川を投入。
数的優位ということもあろう、日本、攻める。今日のトータルのボール支配率は、日本68%、ギリシャ32%である。パスもどんどん廻す。しかし、ゴールに至らない。
ゴールが遠い。

後半23分、香川から内田を経て大久保へとボールが廻った。
ボールがやや浮いていたため、大久保の足には上手くミートしなかった。ゴールポストを大きく外れた。
ゴールが遠い。

その直後の大久保。
残念、との顔。
先発出場の大久保、アグレッシヴな動きを見せていた。最も多くのシュートを打ったのではなかろうか。
しかし、ゴールは遠かった。

タイムアップも近くなった時間帯、敵陣ゴール前でフリーキックを得た。最後のチャンスである。
蹴るのは、長谷部に代わってキャプテンマークを巻いている遠藤だ。
遠藤、直接ゴールを狙う。
いかにも遠藤、というボールが放たれた。ゴールポストの枠も捉えていた。しかし、相手キーパー、これを止めた。本田のみならず遠藤のボールも研究されているに違いない。
ゴールが遠い。
そのまま、スコアレスドロー。日本、数的優位に立ちながらも、勝つことはできなかった。

ゲーム終了後のザッケローニ。
NHKニュース速報とは、日本がギリシャと引き分け後がなくなった、ということを流しているんだ。今日のゲーム、日本国民にとって、それほどのものだったんだな。
それにしても、数的優位に立ちながらも遠いゴール、その原因は那辺にあるのであろうか。
ボール支配率が7割に近く、シュート数も日本16本、ギリシャ9本、と圧倒しているのにもかかわらず。
体挌差は歴然としている。ギリシャの選手は背が高い。平均身長では、10センチぐらい違うのではなかろうか。その状況の中、日本はサイドからのクロスを入れ続けていた。クロスは入る。しかし、そのクロスボールは、ことごとく背の高いギリシャの選手にはね返された。ことごとく、という表現、決して大袈裟ではない。
遠いゴールの一因は、サイドからのクロスに拘ったことにある。
ことごとくはね返されても、サイドからのクロスに拘っていた。
私には、思考回路が硬直しているな、と思えた。
体格では敵わない。それならば、空中戦ではなく地上戦を仕掛けるべきではないかな、と。クロスでなく、ドリブル突破、という手もあろう、と。大久保は、今日のゲームでも相手ディフェンダーの股の下を抜いたボールを放っている。地上戦を仕掛けず、引き分けに持ちこまれたこと、とても残念である。
微かな望みの第3戦、日本にとっても後がないが、監督業を生業とするザッケローニにとっても後がない。