東上野 居酒屋「げんき」。

東博の花見の後は、東上野の居酒屋「げんき」へ。
『ほろ酔い画帖 街々邑々』の石田宏の紹介。石田、居酒屋のことについては、ホントよく知っている。東上野である。まさに、恐れ入谷の鬼子母神だ。
石田から<汚いですが、悪くないです>、とメールが来た東上野の居酒屋「げんき」、悪くない、いい店であった。
この日、夕刻からは春の嵐、雷さまが鳴り、激しい雨も降り、東博から東上野へのJRの大きな跨線橋の上では突風も吹いた。
突然、これが現われた。

銀座線の踏切。
銀座線、地下鉄である。地下鉄に踏切があるなんて知らなかった。

その横に居酒屋「げんき」はある。
”ホッピー”と書かれた提灯がある。

居酒屋「げんき」の正面入口。
趣きがある。

この時季だ、店内にも桜花がある。造花であるが。

”里芋とイカの煮もの”とか、”ブロッコリーとイカの合え”とか、”春雨炒め”とか、”マーボ豆腐”とか、いずれも400円。

清酒一合は350円。酎ハイの類いは300円。

この2日後、東博の花見に参加した連中だけでなく、諸々の事情で参加できなかった連中にも写真を送付した。居酒屋「げんき」も含め。
自らの出版社「どうぶつ社」はやめたが、繋がりはいろいろある、という超多忙の今回不参加の久木亮一からこのようなメールが届いた。
<食いものがちょっとしかないけど、ちゃんと食ったの? 食わないと悪酔いするよね(どうでもいいが・・・)>、というものが。
余計なことを言ってくるが、言われてみれば確かにそう。碌に食っていない。ワケがある。
食いものはほぼ流動食、という男がいる。これは、居酒屋の帝王・石田宏。さらに、それに近い男もいる。固形物も食うが、さほどは、という者もいる。要するに、さほど食わない連中が多いんだ。
で、テーブルの上、このような状態。
上の写真ではこの程度だが、冨久娘の一合瓶、20本近くは飲んだのではなかろうか。
勘定は、7人で1万2千幾ら。一人頭2000円にもいかない。たしかに、碌に食わなかったんだ。

「ほろ酔い画帖」の石田宏、ここでもボールペンを走らせていた。

7時すぎ、店を出る。
東上野の居酒屋「げんき」、”美味い、安い、言うことなし”の店であった。
と、地下鉄が右から左へ走っていった。
右の方は、営団地下鉄銀座線の車庫なんだ。左の方は、地下鉄が地下・地中へもぐっていく線路。地下鉄は如何にして地下へ入っていくのか、多くの人が悩んできたが、こうして地下へ入っていくんだ。初めて知った。

地下鉄が走り去ると、東京メトロとか、危険とかと書かれた鉄柵が下りてくる。

その柵が下りると、遮断機が上がる。
地下鉄の踏切も初めてなら、地下鉄の遮断機も初めて。
その向うの線路、地中に向かっている。

地下鉄が通った踏切の向う。
「向うは万年町だ」、と石田は言う。下谷万年町、唐十郎の世界。
自転車が、そちらの方へ走っていった。

7時過ぎである。
地下鉄銀座線の踏切に接する”ホッピー”と書かれた提灯にも、灯が入っていた。

居酒屋「げんき」の正面玄関、味がある。
東上野4丁目、上野のはずれである。そうであるからこそ、趣深い。味がある。