巨人ベーコン(続き)。

昨日は突然酔いがまわり打ち切った。
フランシス・ベーコン、1909年、アイルランドのダブリンに生まれ、1992年、英国のロンドンで死んだ。
この男である。

レインコートを着たフランシス・ベーコン。撮影は1967年頃。

≪人物像習作Ⅱ≫。1945〜46年。
こうもり傘がある。不思議な形の人間の腰から下には、ツイード地のように見える衣がかかる。何やら不思議な絵。
後年、ベーコンは1940年代の作品を殆んど廃棄したそうだ。現在残っているのは、20点ほどとのこと。この作品も生き残ったひとつ。

≪スフィンクスの習作≫。1953年。
1950年代の初め、ベーコンはエジプトへ行きこう語ったそうだ。「エジプトの美術は、人間がこれまで到達した最も優れた形をしている」、と。
赤い六角形で囲まれた結界の中のスフィンクス、美を示し、力をも表わしてもいるのだろう。

≪三幅対≫。死の前年、1991年の作。
ベーコン最後の三幅対である。今、MoMAが所蔵する。
三幅対・トリプティック、教会の祭壇画から来ている。ベーコンの三幅対、”聖なるもの”と”俗なるもの”が入り混じる。
なお、この三幅対の右側の顔は作者のフランシス・ベーコンであるが、左側の男の顔はアイルトン・セナである、とされている。1994年、サンマリノGPでコースアウトし死んだF1レーサーのあのアイルトン・セナである。
ベーコン、三幅対に限らず、描くモデルはその時々の恋人の男ばかりである。しかし、セナがゲイであるともベーコンの恋人であるとも聞かない。ベーコン、スピード狂いであることは考えられる。 で、セナへの片思い、ということは考えられないのかな。
余計なことかもしれないが、不思議である。

NHKのEテレでも取りあげられた。
”恐ろしいのに美しい”、と。

ンッ、いきなりこういう画面が出てきた。
なんだか恐ろしげじゃないか。

次いでは、こういう映像。
恐ろしそう。

次いでの映像、これは明解であるが、なにやら危なそう。
この写真を基に、ベーコン、≪二人の人物≫という作品を描いている。NHKのEテレでもその作品は流された。しかし、私の趣味からは外れる故、ここには載せない。

ダブリンのヒュー・レーン美術館の学芸員、こう語る。

この人・マルガリータ・カポック、ベーコン研究の第一人者であるらしい。
続けて、こうも言う。

今回、ベーコンの聖と俗が描かれた三幅対、6点が展示された。
浅田彰も出てきた。失せろって叫んだ。

大江健三郎、好きな絵描きの一人がベーコンなんだそうだ。

大江の前の絵は、≪横たわる人物像 No.3≫。1959年。
見づらいが、大江、こう語っている。
「脊髄骨ということを彼は考えている」、と。どうも大江、ベーコンの絵には脊髄骨、つまり背骨が通っている、ということを言っている。なんだか、どうってことのない言葉のように感じられるが。