ヨコトリ2017(6) 力技の人物画。 

赤レンガ倉庫1号館展示の終わり近く、眼を射る作品が展示されていた。
油絵である。人物画である。

作家の名は、小西紀行。
「孤独の集団」と記されているのは、おそらく小西紀行作品全体を総称したものであろう。

幾つもの油彩画で構成されている一種のインスタレーション。
いずれも人物画である。
面白い。

4点の人物画・・・

こういう作品である。
が、
この4点というか4幅対ともいえる作品を見ていると、フランシス・ベーコンが頭に浮かんだ。
20世紀美術の巨人・フランシス・ベーコンの人物画が。
4年以上前になるが、2013年の春、竹橋の国立近代美術館でフランシス・ベーコンの回顧展が催された。ベーコンの数多くの人物画が展示されていた。巨人・ベーコンの。
私が、20世紀美術の巨人・ベーコンを実感したのは10年前、ロンドンの先端美術館であるテート・モダーンでピカソと対峙するベーコンを目の当たりにした時。
小西紀行の作品を見ていると、巨人・ベーコンが浮かんでくる。
竹橋でのベーコン展の折り、大江健三郎はこう言っていた。
「絵というものは、文学でもそうですけど、それ以前に作られたものの影響を無視できない」、と。
フランシス・ベーコンは、ピカソやベラスケスの影響を受けており、小西紀行は、フランシス・ベーコンの影響を受けている。小西紀行、巨人の系譜を受け継いでいる。
その真偽は知らず、私は勝手にそう思った。

ヨコトリのガイドブックによると、作家の小西紀行は、幼い頃に撮影された家族や身近な人物の写真を元に描いているそうだ。
力技の人物画を。

独創性がある。
面白い。

油彩。
紙やカンヴァスに。