周りのイメージ。


MOT(東京都現代美術館)、いつも常設展の中でも特集を組む。「MOT COLLECTION」として。今の展示は、この二つ。
私たちは、その周り、外側にも内側にもさまざまなイメージと関わり合いながら生きている。そのような時代との接点”を”と言うか、”が”と言うか、それが生んだ作品、と言っていい。

井上長三郎作≪東京裁判≫。
1948年、カンヴァスに油彩。
MOTの印刷物を複写した。以下の写真も同じである。
1948年には、まだ東京裁判(極東軍事裁判)は続いていたんだ。この井上長三郎の作品の中央に描かれている、東條英機はじめ絞首刑7人を含むA級戦犯への判決が下されたのは、その年の暮、11月。

鶴岡政男作≪重い手≫。
1949年。油彩、カンヴァス。
鶴岡政男の代表作として知られるこの作品、大きな手で押さえつけられているような重い絵である。上野の地下道で見た浮浪者の姿がその着想にあったそうだ。1949年、敗戦から4年経っていたのであるが。

トム・ウェッセルマン作≪浴槽コラージュ#2≫。
1963年。油彩、コラージュ、オブジェ/板。
1960年代に入ると、アメリカからポップ・アートがバンバン入ってくる。ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、ジム・ダイン、アンディ・ウォーホル、クレイス・オルデンバーグ、・・・・・。MOTの今の展示、ロイ・リキテンスタインと共に、このトム・ウェッセルマンの作品があった。
確かに、60年代、ポップらしい。

第2部からも何点か。
明日の残像から。

森千裕作≪Little Torouble Girl≫。
森千裕、1978年生まれの若い作家。2010年のこの作品、何故か、とても惹かれる感を覚える。不思議な色づかいでもあるし。手から出ている引っかいたような多くの白い線も、不思議ではあるし。

これも森千裕作≪MIGI VS HIDARI(フルーツとともに)≫。
やはり2010年の作。右と左が対決しているのか。何だかよくは解らぬが、何らかのフルーツと共に。
森千裕の周りのイメージなんだ、おそらく。

OJUN作≪曳航・積載≫。
OJUN、共同体の輪郭を批評的に描いてきた作家だそうだ。周りのイメージとどう関わっているのかよくは分からないが、この作品、フワッとしていながらも、どこか強い意志を感じる作品でもある。