世紀末ウィーン。

19世紀末から20世紀初頭にかけてのウィーン、ハプスブルク帝国が終焉に向かうころ、それまでのエスタブリッシュメントを打ち壊そう、コンサバな連中をぶっ飛ばそう、という動きが蠢いていた。揺れていたんだ。
絵画、建築、デザイン、ファッション、音楽、文学、科学、・・・、さまざまな分野で。
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今年は、日本とオーストリアの外交樹立150周年だそうだ。
暫らく前の地下鉄乃木坂駅地下通路にはこういう看板が。「ウィーン・モダン」展。世紀末ウィーンのツートップ、クリムト(右)とエゴン・シーレ(左)。
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国立新美術館へ。
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グスタフ・クリムト≪パラス・アテナ≫ 1898年 油彩/カンヴァス。
実は、盛り沢山な展覧会である。
世紀末ウィーンのクリムトやシーレに向かう道程を、18世紀の啓蒙主義時代のウィーンから時代を追って展示している。その行きついた先が、世紀末ウィーンのクリムトたちだと。
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エゴン・シーレ≪美術批評家アルトゥール・レスラーの肖像≫ 1910年 油彩/カンヴァス。
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オスカー・ココシュカ≪「夢見る少年たち」8.少女リーと私≫ 出版:ウィーン工房 1907-08年 カラーリトグラフ。
ココシュカの作品も数多く来ている。
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マクシミリアン・クルツヴァイル≪黄色いドレスの女性(画家の妻≫ 1899年 油彩/合板。
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オットー・ヴァーグナー≪アカデミー通りおよびグムペンドルファー通りの市営鉄道駅の計画案≫ 1898年 印刷。
設計図、計画書、ポスター、デザイン、この手のものも興味深い。
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グスタフ・クリムト≪第1回ウィーン分離派展ポスター≫(検閲後) 1898年 カラーリトグラフ。
「検閲後」となっているのにはワケがある。当局から「わいせつである」という指摘を受け、隠したんだ。で、「検閲後」。
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エゴン・シーレ≪ひまわり≫ 1909年ー10年 油彩/カンヴァス。
ずいぶん細長い絵。ひまわりを描こうと、シーレはシーレ。
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ヨーゼフ・ホフマン≪センターピース≫ 製作:ウィーン工房 1904年。
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≪水差し≫ 製作:ゲオルク・フォルガッチュ 1807年 銀。
200年前の銀の水差し、美しい。
オーストリア・ハンガリー帝国として中央ヨーロッパに君臨していたハプスブルク家を思う。
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会場内、一か所のみカメラが許されているところがあった。
何と、クリムトの≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫。
これには驚いた。会場内すべての作品の撮影は禁じているのに、唯一カメラが許されるのが≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫であったので。この展覧会最大の目玉作品であったので。
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皆さん、スマホをかざす。
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グスタフ・クリムト≪エミーリエ・フレーゲの肖像≫ 1902年 油彩/カンヴァス。
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国立新美術館には休憩室がある。
そこにエミーリエ・フレーゲの衣装が立っていた。
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文化服装学院の・・・・・、とある。
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若いお嬢さん4人組がワイワイと言いながら集まっていた。


音声ガイドは城田優。俳優ということだが、私は知らない。その音声もどういうものであったか、思い出せない。
ただ、挟まれる曲はさすがウィーン、よかった。
レハールのワルツ「金と銀」に始まり、ヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」、そしてマーラーの交響曲へ。
このところ美術館では、イスが空いていればまず座る。
そして音声ガイドのバックに流れる曲を聴いている。「ウィーン・モダン」展での音声ガイドの曲もよかった。